本研究では、脊髄損傷に対する従来の骨髄間葉系細胞(BMSC)による治療効果に加えて、プログラム細胞死リガンド1高発現骨髄間葉系幹細胞(PDL1-BMSC)移植による免疫チェックポイント機構を利用することで、T細胞の活性化を抑制し、脊髄損傷後の免疫修飾効果を最大限に高めた新たな脊髄損傷治療法の開発を目指した。初年度はマウスBMSCからPDL1-BMSCの培養技術の確立を試みた。マウス大腿骨を採取しBMSCを培養し、レンチウイルスベクターを用いてPDL-1遺伝子を導入しPDL1-BMSCを作製した。また、マウス脊髄損傷モデルとして、脊髄切断モデル、脊椎圧迫損傷モデルをそれぞれ作製し、本研究における細胞移植に適した脊髄損傷モデルを確立した。しかし、COVID-19の国内での蔓延の影響を受け、一時的に研究を中断しなければならず、当初の計画通りに研究を遂行することができなかった。また、令和3年3月31日付けで研究代表者が所属機関を退職することとなったため、研究継続実施が困難となった。
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