研究実績の概要 |
肩腱板断裂および変形性肩関節症は、肩関節の疼痛および可動域制限を生じる代表的な疾患である。一般的に肩腱板断裂に対しては腱板縫合術が施行され、変形性肩関節症に対しては人工肩関節置換術が施行されるが、術前後で肩関節動態がどのように変化するかについては未だに良く分かっていない。 そこで本研究は、術後に肩関節可動域が改善する症例群と改善しない症例群が存在することに着目し、術後の肩関節動態の回復メカニズムついて明らかにすることを目的とする。具体的には①健常肩関節、腱板断裂肩、変形性肩関節症の日常生活動作における三次元動態の把握、②腱板縫合術後や人工肩関節置換術後の日常生活動作における三次元動態の把握、③腱板縫合術前後や人工肩関節置換術前後の三次元動態の変化と腱板断裂サイズや手術方法との関連、という3点から高精度動態解析手法であるイメージマッチング法を用いて検討を行っている。 2020年度は腱板断裂肩と健常肩関節の肩甲骨動態の違いに関して論文発表(Kozono N, Takeuchi N, Okada T, Hamai S, Higaki H, Shimoto T, Ikebe S, Gondo H, Senju T, Nakashima Y. J Orthop Surg (Hong Kong). 2020)を行った。2021年度は腱板断裂肩のMRI画像評価に関する論文発表(Takeuchi N, Kozono N, et al. Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc. 2021)を行い、日本肩関節学会や日本整形外科学会学術総会への学会発表を多数行った。2020年度より、腱板縫合術後や人工肩関節置換術後の動態解析に着手している。次年度は、更なるデータを蓄積する作業を行いつつ、論文化を念頭に研究を進める予定である。
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