研究課題
肩腱板断裂および変形性肩関節症は、肩関節の疼痛および可動域制限を生じる代表的な疾患である。一般的に肩腱板断裂に対しては腱板縫合術が施行され、変形性肩関節症に対しては人工肩関節置換術が施行されるが、術前後で肩関節動態がどのように変化するかについては未だに良く分かっていない。そこで本研究は、術後に肩関節可動域が改善する症例群と改善しない症例群が存在することに着目し、術後の肩関節動態の回復メカニズムついて明らかにすることを目的とする。具体的には①健常肩関節、腱板断裂肩、変形性肩関節症の日常生活動作における三次元動態の把握、②腱板縫合術後や人工肩関節置換術後の日常生活動作における三次元動態の把握、③腱板縫合術前後や人工肩関節置換術前後の三次元動態の変化と腱板断裂サイズや手術方法との関連、という3点から高精度動態解析手法であるイメージマッチング法を用いて検討を行っている。2020年度は腱板断裂肩と健常肩関節の肩甲骨動態の違いに関して論文発表(Kozono N, et al. J Orthop Surg (Hong Kong). 2020)を行った。2022年度はリバース型人工肩関節全置換術におけるインプラント設置位置の検証に関して論文発表(Tashiro E, Takeuchi N, Kozono N, et al. Int Orthop. 2022)を行った。2023年度はシミュレーションソフト(Zedshoulder)を用いリバース型人工肩関節の可動域を検証し論文発表(Yamada E, Kozono N, et al. J Orthop Surg Res. 2024)を行った。次年度は、更なるデータを蓄積する作業を行いつつ、論文化を念頭に研究を進める予定である。
3: やや遅れている
以下の予期せぬ理由により、計画よりも進捗がやや遅れていると自己評価した。・CTデータベースの構築の遅延腱板断裂(小・中・大・広範囲断裂)、人工肩関節置換術後のCT撮影を開始しデータの蓄積を行っているが、新型コロナウイルスの感染予防のため、2020年度~2022年度にかけて手術症例数が減少しデータ蓄積量が予定よりやや不足した。
・腱板断裂肩や人工肩関節の動態解析データの蓄積腱板断裂肩や人工肩関節置換術後症例の動態撮影を継続し、データを蓄積させていく予定である。研究成果に関し、積極的に英文論文化することによる結果公表を進めていく。
2020年度~2022年度にかけて、新型コロナウイルス感染予防のため、参加予定であった国内学会および国際学会がオンライン開催となり、国内および海外出張の機会が例年よりも少なかったことやオープンアクセスでない雑誌への論文がアクセプトされたことで論文掲載料を支払うことがなかったため。今後は論文の英文校正やオープンアクセス雑誌への論文掲載料、研究発表目的である国内および海外出張の費用に使用予定である。
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件)
Journal of Orthopaedic Surgery and Research
巻: 19 ページ: 25
10.1186/s13018-023-04506-w