研究課題/領域番号 |
20K18046
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研究機関 | 岡山理科大学 |
研究代表者 |
中嶋 幸生 岡山理科大学, 獣医学部, 准教授 (80785775)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 薬理学的患肢温存術 / 悪性骨腫瘍 / 骨微小環境の正常化 |
研究実績の概要 |
整形外科疾患の中でも、現存の治療に抵抗性を示す悪性骨腫瘍に対する治療戦略が求められている。特に子供・思春期・若年成人に発生することがあり、罹患した患者の人生に大きな影響を与えることが問題となっている。このような悲惨な難治性腫瘍に対する効果的な薬剤が開発されれば、治療成績の向上が見込める可能性がある。悪性骨腫瘍においては、腫瘍が骨微小環境中に介在することにより異常な骨リモデリングが生じる。そして、疼痛や病的骨折を引き起こすことが問題となる。本研究の目的は、悪性骨腫瘍によって生じた異常な骨微小環境の正常化を誘導する技術を開発することである。研究計画は以下の6段階として実施した。 ①悪性骨腫瘍における骨微小環境を可視化するソフトウェアの開発による原因分子の推定、②原因分子の発現解析(悪性骨軟部腫瘍・約1400 症例)と、治療適応の可能性のある組織型の同定、③in vitro実験による悪性骨腫瘍の進行における原因分子の役割の解明、およびその機能部位の解析、④前向き臨床研究(盲検下にて約100 症例を対象)による原因分子に対する内因性抗体の調査、⑤原因分子の機能部位に結合する特異的中和抗体の作成、⑥in vivo実験による中和抗体の有効試験、である。上記の結果から、悪性骨腫瘍における骨微小環境を正常化する技術を構築した。 上記の研究成果の内容に基づいて、学内において2021年度に開催された第2回職務発明判定委員会にて、プレゼンテーションを行い、職務発明の届出をした後、職務発明として取り扱うとの判定結果に達した。また、共同出願について承諾を得たため、共同出願を行う協力研究施設との調整を入った。一方で、別に外部委託していた某解析会社は、納品する予定であった研究試料を納品しないなどの異常な態度を示し、被害を受けた。そこで現在、弁護士を通じて法的に解決策が見出されるよう対話を重ねている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要の理由により、研究自体はやや遅れているものの、追加解析として、現在新規治療薬の投与による消化器系などにおける副作用の解析や、非脱灰標本による骨微小環境の解析、CT検査などによる治療効果の機序についての解析を現在順次実施しており、予測不可能な事態による遅れを取り戻している状況であるため、(3)やや遅れている、と自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度獲得した「悪性骨腫瘍における骨微小環境を正常化する新規治療の適応拡大」(日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 整形外科分野 2023年4月 - 2026年3月)によって、本研究の継続が可能となったため、申請内容に沿って研究を実施する。 また、共同研究機関からの提案があったため、当初の予定通り、最終的には蓄積された研究データは国内外の製薬企業や試薬用抗体販売メーカーと共に、抗体医薬品としての導出を視野に入れている。
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次年度使用額が生じた理由 |
外部委託業者との支払いについての対話が前に進まなかったため、使用額に差が生じているが、今年度中に精算される予定である。
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