研究実績の概要 |
市販のAOミニDCP 8穴プレート(Ti-6Al-4V合金製、ヤング率110GPa)と同型のプレートをTi-Nb-Sn合金(ヤング率49.1GPa)で作成し、日本白色家兎(オス)を用いた脛骨骨折モデルにおいて骨折治癒過程と骨強度の違いを評価した。マイクロCTによる画像評価を術後4週の時点で行い(各群5匹)、3点曲げ試験による力学的評価を術後4週(各群7匹)・8週(各群7匹)の時点で行った。マイクロCTを撮影して仮骨の体積と仮骨の骨密度を計測し、MPR像で仮骨架橋幅を計測した。3点曲げ試験で最大荷重と剛性を計測した。 マイクロCTで評価した仮骨架橋幅はTi-Nb-Sn群で有意に高い値となった(CBW: 59.7 ± 5.7 mm vs. 24.0 ± 5.7 mm, p = 0.0012; 髄外CBW比: 41.6 ± 11.6% vs. 25.0 ± 11.6%, p = 0.33; 髄内CBW比: 86.4 ± 6.0% vs. 18.5 ± 6.0%, p < 0.001)。仮骨体積と骨密度に有意差はみられなかった。術後4週時点の3点曲げ試験において、最大荷重はTi-Nb-Sn群で有意に高い値となった(121 ± 12 N vs. 83 ± 12 N, p = 0.05)。一方、剛性に有意差はみられなかった(150 ± 25 N/mm vs. 92 ± 25 N, p = 0.13)。術後8週時点の3点曲げ試験において、最大荷重および剛性のいずれにも有意差はみられなかった。 以上の結果から、Ti-Nb-Sn合金製プレートはウサギ脛骨骨折モデルにおいて骨切り部の骨片間に適切なmicromotionをもたらし、骨癒合早期における仮骨の成熟と強度の再獲得を促進したと考えられる。
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