外径3mm、内径2mmで外層がキトサンハイドロゲル、内層が細胞封入可能なコラーゲンハイドロゲルで構成された人工神経(chitosan-collagen hydrogel nerve conduit: CCN)を作成した。SDラット坐骨神経欠損部にCCN移植を行い1か月毎に移植部を観察すると、移植後3か月までは肉眼的に人工神経の形態が維持・確認されたが、4か月の時点では吸収され消失していた。次に、SDラットからSchwann細胞を分離培養してffLuc遺伝子導入による標識化を行った上でCCNコラーゲン層に封入し、SDラット6週齢雄の左坐骨神経10mm欠損部に対して、顕微鏡下に神経断端の架橋を行った(CCN+群)。比較較対象として、CCN細胞なし群(CCN-群)、同細胞をsilicone tubeに封入し移植した群(Silicone+群)、自家神経移植群(Auto群)を作成した(各群n=10)。移植後2週毎にバイオイメージングおよび歩行解析(sciatic functional index; SFI)、移植後12週時に種々の組織学的解析を行い、多群間での統計学的検討を行った。 移植細胞が生存していた場合に認められるルシフェリン発光は、移植後4週の段階で消失 していた。CCN+群はCCN-群およびSilicone+群と比較してSFIが有意に高値であり、G-ratioとP0陽性領域においても有意な髄鞘形成が確認された。一方、CCN-群とSilicone+群は歩行解析、組織学的解析いずれにおいても有意差を認めず、Auto群はいずれにおいても他群と比較して最も優れた回復を示したが、再生軸索の断面積に関しては CCN+群と有意差を認めなかった。 以上の結果から、CCNおよび移植Schwann細胞それぞれが末梢神経再生に寄与し、それらを組み合わせたことにより神経再生がより促進したと考えられた。
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