免疫チェックポイント阻害薬による生存期間の延長が複数のがん種で示され、がん治療において免疫療法は重要な選択肢の一つとなってきており、多剤併用によ る複合的免疫治療の開発も始まっている。しかし、これらの治療効果を予測するバイオマーカーは確立されていない。また、肉腫においては免疫チェックポイン ト阻害薬を含め生存期間の延長が証明された免疫療法は存在しない。本研究では、肉腫患者の腫瘍組織検体と血液検体を用いて、次世代シークエンサー、フローサイトメトリー、液性因子解析により腫瘍内免疫応答を多層的に解析し、患者個々の腫瘍内免疫応答の特性を評価した「イムノグラム」を作成し、さらに詳細な免疫ゲノム解析を行うこととしている。今年度は、肉腫患者52例の検体を追加で収集し、末梢血検体から末梢血単核球(PBMC)と血清を分離して凍結保存した。十分な量の腫瘍組織が採取できた症例については、腫瘍組織を細断し、一部は酵素処理などを行ってFresh tumor digest(FTD)を作成した。残りは培地上に播種し、腫瘍浸潤リンパ球 (TIL)および腫瘍細胞 を培養した。そして、得られたTILとFTDを共培養し、上清を回収してELISAでインターフェロンγ(IFNγ)産生を解析した。これらの解析から先行研究および昨年度までの成果と同様に腫瘍細胞内に腫瘍反応性のTILが存在している症例があることを再確認した。さらに、これらの検体について、次世代シークエンサーによる解析のための準備を行い、腫瘍組織の肉眼的な癌部と非癌部、PBMCからそれぞれDNA、RNAを抽出し、全エクソン、RNAシーケンス解析を外注に出した。 現在も症例集積を継続しつつ、これまで集積した症例について、イムノグラム解析および統合的免疫ゲノム解析を行っており、論文投稿の準備中である。
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