研究課題/領域番号 |
20K18082
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
小島 由太 弘前大学, 医学部附属病院, 助教 (00792334)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | MRI / PSMA |
研究実績の概要 |
MRIターゲット針生検による不要生検の低減や前立腺特異膜抗原(PSMA)に結合する低分子リガンドと68Gaや177Luなどの放射性同位元素を組み合わせたPSMA-PETによる前立腺癌転移、再発病変の高精度検出法が実用化され、新たな画像診断モダリティーによる前立腺癌診療のパラダイムシフトが起きている。放射性同位元素に起因する被爆の問題から、さらに低被ばくかつ汎用性が高い前立腺癌特異的画像診断モダリティーが必要である。最近、ランダムペプチドファージディスプレイ法により、PSMAに特異的に結合する7残基のペプチド配列(L7 ペプチド)を同定した。本研究では、同定したPSMA標的L7 ペプチドにガドリニウム(Gd)錯体を結合させた造影剤を合成し、PSMA陽性腫瘍への集積をMRIでモニタリングし、前立腺癌特異的MRI画像診断に使用可能な新規薬剤の開発を試みる。令和2年度は、L7ペプチドの投与による毒性試験を実施し、250mg/kg以上の投与でマウスが死亡することを確認し、以降の実験では、250mg/kg以下の投与での実験を実施した。さらにL7ペプチド-Gd錯体(L7-Gd)の合成および皮下腫瘍マウスモデルにおけるL7-Gd投与後のMRIによるモニタリングを実施し、L7-Gdが腫瘍組織に集積し、造影効果が認められることを確認した。また骨転移腫瘍モデルにおけるMRIモニタリングのための骨転移腫瘍マウスモデル構築を実施した。これらの研究成果を今後日本、欧州、および米国の各泌尿器科学会で発表を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
R2年度の研究実施予定であった 1. L7ペプチド投与毒性試験 2. L7ペプチド-Gd錯体(L7-Gd)の合成および皮下腫瘍マウスモデルにおけるL7-Gd投与後のMRIによるモニタリング 3. 骨転移腫瘍マウスモデルにおけるL7-Gd投与後のMRIによるモニタリング について概ね予定通りの進捗状況である。
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今後の研究の推進方策 |
MRIにおけるL7ペプチド-Gd錯体の組織集積性の検討結果を踏まえ、皮下腫瘍、骨転移モデルにおけるAR阻害剤あるいは、抗がん剤による治療効果をL7ペプチド-Gd錯体投与によるMRI画像解析にて、モニタリング可能かどうか検討する。
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