研究課題/領域番号 |
20K18086
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
根来 宏光 筑波大学, 医学医療系, 講師 (80708595)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 下部尿路症状 / 睡眠障害 / 概日時計 / 膀胱 |
研究実績の概要 |
本研究では、疫学研究から判明した睡眠障害と下部尿路症状悪化リスクの関連を、睡眠障害マウスと膀胱時計調律因子の分子生物学的・生理学的な解析を行い、睡眠による膀胱時計制御メカニズムから解明することを目的としている。 1)睡眠障害による膀胱時計・膀胱機能への影響の解析 MELQUEST社製装置(9)を用いて、膀胱時計の変動を遺伝子発現レベルで、コントロール群と比較・検討した。現時点では時計遺伝子には大きな変化は現時点では認めていない。 2)睡眠と関連する膀胱時計調律因子の探索 Bmal1-Lucを導入したヒト不死化尿路上皮細胞株を用いて、尿路上皮時計に作用する物質のスクリーニングを行い、振幅の低下、増強、位相の変化を示す候補となる物質は同定された。 3)膀胱時計障害時における膀胱機能の変化について 2)で同定された物質のvivoでの作用について、阻害実験、投与実験を行い、vivoにおいても時計遺伝子に対する作用は確認されつつある。また、尿路上皮特異的に時計機構を破壊したBmal1f/f UPK2Creマウスは作製され、現在繁殖中であり、今後の実験に使用可能となっている。膀胱機能分子であるギャップジャンクション構成蛋白であるCx43をUPKCreでconditionalKOしたマウスの排尿解析は終了し、論文として発表した。 膀胱内圧測定やマウスの自動排尿測定の系は確立され、安定した実験が可能となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍にて実験が停止していた時期もあり、またMELQUEST社製装置による睡眠障害モデルにマウスが適応できないケースがあり、条件設定に想定外に時間を要したことが大きい。
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今後の研究の推進方策 |
MELQUEST社製装置によるモデルは比較的安定的に作製可能な状況となった。膀胱時計に大きな変動が認められないことが想定される場合は、そのモデルにおける膀胱の機能性遺伝子の変動・膀胱機能障害に着目し、RNAseqを行い機能性分子の探索を行う。 膀胱時計に作用する物質に関しては、その生理的な影響やメカニズムについて、さらにvivoと排尿機能への影響についての実験を進めている。 睡眠障害モデルでのその物質の動きについても調べていく予定である。 全般的に実験系はほぼ確立されてきており、それぞれのモデルで実験を進めていくことで、結果につながるところまでは来ている。
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