研究課題
疫学的研究から得られた、睡眠障害が日中の排尿症状を悪化させるという知見をもとに、慢性睡眠障害と膀胱時計遺伝子の関連に着目して研究をおこなった。強いストレスなく慢性的な睡眠障害を起こせるように設計された回転ケージでマウスを飼育し、その後膀胱時計遺伝子の発現変化を継時的に測定した。膀胱の主要な時計遺伝子発現の日内変動はコントロールと比較し有意な変化を認めなかった。一方で排尿活動に関しては、睡眠障害群において活動期に1回排尿量が減少、排尿間隔が短くなる傾向を認めた。膀胱時計遺伝子の有意な変動はなかったが、排尿行動に影響がある可能性が示唆されたため、現在RNAシークエンスにて膀胱で日内変動する遺伝子が慢性睡眠障害でどの程度障害されるかを解析している。膀胱機能に影響を及ぼし発現が日内変動する遺伝子への時計遺伝子からの制御過程において、慢性睡眠障害がどのようなシグナルを介して関与するかを検討している。膀胱時計が遺伝子レベルでは日内変動を有しているが、膀胱機能への影響を与える因子として、ヒト不死化尿路上皮細胞から尿路上皮の概日時計に影響する結果が得られている分子に着目している。睡眠障害モデル個体レベルにおいてその血中濃度の日内発現リズムは完全に障害されるのではなく、その時計遺伝子の下流制御の役割について引き続き研究を行っている。睡眠障害の膀胱機能への影響について、介在するシグナルが同定されることにより、膀胱機能障害への予防やより未病改善に繋がることが期待される。
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