1.ミコール酸関連物質リポソーム製剤の抗腫瘍効果 BCGを含めた抗酸菌に特徴的な脂質であるミコール酸は細胞壁においては様々な物質と結合しミコール酸関連物質として存在し、中でもトレハロースを介して2つのミコール酸が結合したトレハロースジミコレート(TDM)は細胞壁の中で最も多量に含まれるミコール酸関連物質である。本研究ではTDMリポソーム製剤とミコール酸リポソーム製剤を作製し抗腫瘍効果について検証したところTDMリポソーム製剤がより強い抗腫瘍効果を示すことが明らかとなった。このことからTDMがBCGに含まれるミコール酸関連物質の中でより有用な成分であることが示唆された。TDMリポソーム製剤は膀胱癌細胞株に限らず、大腸癌細胞株、メラノーマ細胞株でも抗腫瘍効果を示すことが明らかとなった。さらにTDMリポソーム製剤は腫瘍局所投与以外にも、全身投与法である腹腔内投与でも抗腫瘍効果を示すことが明らかとなり、転移性癌においても抗腫瘍効果を示す可能性が示唆された。 2.ミコール酸関連物質リポソーム製剤の抗腫瘍効果のメカニズム TDMリポソーム製剤の抗腫瘍効果はCD8陽性T細胞枯渇マウスにて消失することが明らかとなり抗腫瘍効果にはCD8陽性T細胞の獲得免疫が重要であることが示唆された。またTDMのレセプターであるMincle-/-マウスにおいても同様に抗腫瘍効果が消失することが明らかとなった。
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