研究課題/領域番号 |
20K18099
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
前川 滋克 岩手医科大学, 医学部, 助教 (40774039)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 陰茎癌 / ゲノム / ヒトパピローマウイルス |
研究実績の概要 |
陰茎癌2例とそれに対応する症例の正常検体からそれぞれDNAを抽出し、全ゲノムシークエンスを行った。その結果、同じ1塩基を解読した重複回数、いわゆるdepthは陰茎癌検体で54.95、正常組織で57.39と解析には十分な結果が得られた。陰茎癌2例のゲノム異常は81103個みつかり、1例当たりでは43416個と37687個であった。そのうちタンパク質コード領域内の異常は306個(1例当たり201個および105個)であった。その内訳は、アミノ酸配列が異なる1塩基置換は181個(123個、58個)、アミノ酸配列に変化のない1塩基置換は77個(49個、28個)、フレームシフトが起こる塩基の挿入が2個(1個、1個)、フレームシフトが起こる欠失が2個(2個、0個)、フレームシフトが起こらない欠失が4個(3個、1個)、ストップコドンに変わる変化が5個(5個、0個)であった。ゲノム構造異常は275か所でみつかり、1症例当たり182、93か所であった。ゲノム構造異常とは、ゲノム上の塩基配列が数100から数1000万塩基にわたって、通常2コピーある配列が1コピーになったり(コピー数異常)、別の染色体部位に位置が変わったり(転座)、方向が入れ替わったり(逆位)など、大きく塩基配列が変化する異常のことである。ゲノム構造異常のうち、欠失が91か所(1例当たり43か所、48か所)、逆位が16か所(12か所、4か所)、重複が84か所(67か所、17か所)、転座が84か所(60か所と24か所)でそれぞれ認められた。現在、6例の陰茎癌について、それぞれ腫瘍部、正常部を理化学研究所に送っている。2022年5月の時点でさらに2例の陰茎癌検体を収集出来ており順次、理化学研究所に送る予定である。計10例に達したら全ゲノムシークエンスを行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
陰茎癌は希少癌であり、元々症例数が少ない。COVID_19の影響もあり、患者の受診も減っていること、受診が遅れ手術不可能になってから紹介され検体の採取ができなかった症例もいた。
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今後の研究の推進方策 |
岩手県内の施設へ連絡し、陰茎癌を紹介してもらい、計10例の検体を収集する。10例に達したら理研で全ゲノムシークエンスを行う約束となっている。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度に全ゲノムシークエンス予定であり、繰り越しが発生するのも予定通りである。
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