研究課題
去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)は予後不良であり、かつその病勢を測るバイオマーカーが確立されていない。CRPCの予後・治療効果を正確に反映するバイオマーカーの開発が急務である。CRPCでは腫瘍細胞のHeterogeneityが高く、一部病巣の生検では得られる情報が限られるため、Cell free DNA(cfDNA)、Circulating tumor cell(CTC)の有用性が注目されている。我々はこれまで、各泌尿器科癌における糖鎖の解析を行い、新規バイオマーカーの開発を世界に先駆け発表してきた。本研究では、この基盤を活用し、CRPCにおけるcfDNAを抽出し、去勢抵抗性獲得に関与しているアンドロゲン受容体遺伝子増幅(AR-amp)に加えGCNT2、β4GALNT4、C2GNT1といった糖転移酵素の発現、更にはPTENやTP53変異を定量的に解析することで、CRPCの去勢抵抗性獲得に関わる複雑な分子機構を解明し、新規バイオマーカーを開発することを目的とする。また、CRPC治療に使用される各薬剤がcfDNA中の各遺伝子の発現に与える影響を解明することで、治療効果を予測するcfDNA関連マーカーの開発を目指す。2020年から前立腺癌患者の血液を集積し、順次解析を開始した。現在100名程度のsampleが集まり、血漿を分離、cfDNAを抽出する作業を行っている。抽出されたcfDNAにおける総量、各糖転移酵素(GCNT2、β4GALNT4、C2GNT1)やAR、コピー数は測定可能であることが確認された。しかし、PTEN、P53の変異は絶対数が少なく、定量測定にはやや困難があることも分かった。さらに、神経内分泌癌のマーカー検索も開始した。
2: おおむね順調に進展している
現在、100例程度の検体が集まり、解析が始まり、順調に解析が進んでいる。しかしコロナ禍における世界的な試薬不足などにより、実験のペースはやや遅れている。その中でも抽出されたcfDNAにおける、総量、各糖転移酵素(GCNT2、β4GALNT4、C2GNT1)やARコピー数は測定可能であることが確認された。しかし、PTEN、P53の変異は絶対数が少なく、定量測定にはやや困難があることも分かった。さらに神経内分泌癌のマーカー検索も開始した。これら課題を解決しながら本年度の研究を進める予定である。
抽出されたcfDNAにおける、総量、各糖転移酵素(GCNT2、β4GALNT4、C2GNT1)やARコピー数は測定可能であることが確認された。しかし、PTEN、P53の変異は絶対数が少なく、定量測定にはやや困難があることも分かった。これら課題を解決しながら本年度の研究を進める予定である。また、前立腺癌細胞株で検討、神経内分泌前立腺癌(NEPC)に関するcfDNAバイオマーカーの検索を開始したところであり、今後も検討を継続する予定である
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件)
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