研究課題
1)2021年度で報告した通り、コロナ禍で出された緊急事態宣言の影響で、思うように検体が収集できなかったが、2021年に入って検体収集を開始し、2022年3月末までに2種類の陰茎擦過検体を81例の患者より収集できた。それらの検体よりDNAを採取し、HPV-DNA検査および型判定を行った。HPV陽性率は医師採取検体31%、自己採取検体28%であり、両検体でHPV陽性であったのは26%であった。医師採取検体と比較するとHPV検出における自己採取検体の感度は91%、特異度は93%であった。また両検体でHPV陽性であった検体の70%で、検出された遺伝子型が完全もしくは部分一致しており、検出された遺伝子型は総じて自己採取検体の方が多かった。すなわち、男性においても陰茎擦過による自己採取検体を用いたHPV検査は十分可能であると推察された。2)2020年度に検体採取が遅れてたことを受け、前回の報告書に記載した通り女性の尿検体を用いたHPV感染のスクリーニングの有用性についての研究を別途実施した。対象者は40例、HPVは子宮頸部検体の20例(50.0%)、外陰部検体の21例(52.5%)、尿検体の17例(42.5%)で検出された。3検体ともHPV陽性であったのは14例(35.0%)であった。型判定では子宮頸部検体、外陰部検体、尿検体の単独感染がそれぞれ9例、11例、11例、複数型の重複感染が6例、6例、4例であった。3検体ともHPV陽性であった14例中、完全に型が一致したのは5例(35.7%)、部分的に型が一致したのは7例(50.0%)であり、子宮頸部、外陰部の検体と比べ尿検体においてHPVの検出率がやや低いものの、HPV検出、型ともにある程度の一致が認められ、尿検体を用いたHPV検査が有効な方法となる可能性が示唆された。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)
Int J Infect Dis
巻: 112 ページ: 294, 299
10.1016/j.ijid.2021.09.029.