研究課題/領域番号 |
20K18116
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
定平 卓也 岡山大学, 大学病院, 助教 (20733322)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 腫瘍 / REIC / 遺伝子治療 / 局所治療 / アデノウイルス |
研究実績の概要 |
がん治療において免疫担当細胞の機能調節は非常に重要である。近年、T細胞のエフェクター機能について、細胞内代謝の視点からアプローチした研究報告されている。特に T細胞受容体(TCR)シグナル下流では、解糖系の亢進が種々の機序によってT細胞エフェクター機能につながっていることが明らかになってきた。しかし、未だ、エフェクター機能活性化に関与する分子機構については未知な部分が少なくない。一方で、癌抑制遺伝子REIC/Dkk-3を治療遺伝子とする固形癌に対するin-situ 遺伝子治療は、「癌細胞の選択的アポトーシス」と「抗癌免疫の活性化」による相乗的効果増強作用を誘導し、原発巣のみならず転移巣に対しても顕著な治療効果を示すことが複数の動物モデルで実証されている。 我々の最近の研究においてREICタンパク質が免疫担当細胞の抗腫瘍活性を強化する機能を有することが明らかになったことから、本申請研究では、REIC/Dkk-3遺伝子治療を生体内における代謝制御機構を介した抗癌免疫活性化の観点から系統的に解析し、自己癌ワクチン化療法としての免疫学的基盤の確立と革新的癌創薬への展開を目指す。また、並行してAd-REIC製剤を実臨床で癌病変に直接投与することを想定して、癌局所治療の最適化に向けた新規低侵襲治療法の開発を遂行する。本研究を推進することで、産学連携の推進とあらゆる癌に応用可能な治療法の基盤確立に貢献しうる可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに、我々がこれまでの研究で得た知見である、「癌治療遺伝子REIC/Dkk-3の自己癌ワクチン化作用」の更なるメカニズム解明に関する研究に取り組んでいる。特に本研究では、REICタンパク質が免疫担当細胞の抗腫瘍活性を強化する機能を有する可能性を見出し、一定の成果が得られている。また本年度も、腫瘍内に試験薬等を浸透・拡散させる為の投与システムに関する基盤研究を実施した。すなわち、腫瘍局所での免疫担当細胞の免疫応答強化を可能とするベクター投与システムについての応用研究を実施した。よって、研究はおおむね順調に進捗していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究に継続して、REICタンパクの癌特異的免疫担当細胞の新規活性化機構のシグナル解析を行っていく予定である。さらに、腫瘍内免疫担当細胞の応答強化の最大化を目指した腫瘍内局所投与法に関して基盤的知見を得る為の研究を推進する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の研究においては、REICタンパク質の免疫担当細胞を介した各種癌細胞に対する抗腫瘍効果の分子メカニズムの解析と薬剤局所投与方法に係る研究を遂行した。今回、当該分子メカニズムの解析について、予定と比べて未使用額が生じた。今年度未使用額を令和3年度分にあてがい、引き続き解析を進めていく予定である。
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