研究課題
若手研究
我々は、症例対照研究により、飲酒、アルコール代謝遺伝子、膀胱がんのリスクの関連を検討した。媒介分析の結果、アルデヒド脱水素酵素2 (ALDH2)の遺伝子多型であるrs671 (Glu504Lys)のLysアレルは、飲酒に由来するアセトアルデヒドの曝露を増加させることで、膀胱がんのリスクを増加させることが示された。一方で、Lysアレルは、飲酒量を抑制することにより、膀胱発がんに対して保護的な効果をもたらすと推察された。
がん疫学、分子疫学
日本の膀胱がん罹患数、死亡数は近年増え続けているため、日本人のデータに基づいた、新たな膀胱がんのリスクファクターの同定や、膀胱がん発症のメカニズムの解明が必要不可欠である。本研究により、ALDH2 rs671 Lysアレル保有者が飲酒を行うことで膀胱がんのリスクが上昇することが示された。Lysアレル保有者が飲酒を控えるように啓蒙を行えば、膀胱がん罹患者を減らすことができるかもしれない。