研究実績の概要 |
申請者は、癌治療の新たなツールとして、主要組織抗原非拘束性に抗腫瘍効果を発揮し容易に体外大量増幅培養可能なγδT細胞に着目し研究継続している。 本研究では、投与したγδT細胞の免疫疲弊に着目した検討を行う。癌微小環境下 (Tumor Microenvironment:TME)での免疫疲弊に関与する細胞分子メカニズムの一端を明らかできれば、漸新かつ先駆的な癌微小環境に対する免疫アプローチが構築される事が期待される。 腫瘍組織内においてはTリンパ球の抗腫瘍免疫は減弱させられることが知られており、特にがん間質の構成細胞であるcancer associated fibroblast (CAF), tumor associated macrophage (TAM), myeloid-derived suppressor cell (MDSC)などが一因として挙げられる。本年度は次に2点に絞り実験を進めてきた。 ①細胞株 (NIH3T3,THP-1など)から人工作製したCAF, TAM, MDSC, Tregといった免疫抑制性細胞を作製する実験を行っている。 これら人工作製した免疫抑制性細胞を添加しin vitroのdwell plateでヒト膀胱癌株UMUC3,T24,TCCSUP等と、γδT細胞を4時間共培養の作業、抗腫瘍効果の検討をフローサイトメトリー法にて現在行っている。 ②これら免疫抑制性細胞と共培養することでγδT細胞の癌細胞に対しての抗腫瘍効果減弱を確認することができれば、次のステップはこれら免疫抑制性細胞がparacrine, autocrineに放出するchemokine, cytokineの定量を、培養上清を用いてELISA法にて行うγδT細胞を疲弊させる分子の同定へ進む予定である。
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