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2020 年度 実施状況報告書

癌微小環境を標的としたVγ9Vδ2T細胞癌免疫細胞療法の基盤構築

研究課題

研究課題/領域番号 20K18123
研究機関京都府立医科大学

研究代表者

清水 輝記  京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90530361)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードγδT細胞 / CAF / TAM / 免疫疲弊
研究実績の概要

申請者は、癌治療の新たなツールとして、主要組織抗原非拘束性に抗腫瘍効果を発揮し容易に体外大量増幅培養可能なγδT細胞に着目し研究継続している。
本研究では、投与したγδT細胞の免疫疲弊に着目した検討を行う。癌微小環境下 (Tumor Microenvironment:TME)での免疫疲弊に関与する細胞分子メカニズムの一端を明らかできれば、漸新かつ先駆的な癌微小環境に対する免疫アプローチが構築される事が期待される。
腫瘍組織内においてはTリンパ球の抗腫瘍免疫は減弱させられることが知られており、特にがん間質の構成細胞であるcancer associated fibroblast (CAF), tumor associated macrophage (TAM), myeloid-derived suppressor cell (MDSC)などが一因として挙げられる。本年度は次に2点に絞り実験を進めてきた。
①細胞株 (NIH3T3,THP-1など)から人工作製したCAF, TAM, MDSC, Tregといった免疫抑制性細胞を作製する実験を行っている。
これら人工作製した免疫抑制性細胞を添加しin vitroのdwell plateでヒト膀胱癌株UMUC3,T24,TCCSUP等と、γδT細胞を4時間共培養の作業、抗腫瘍効果の検討をフローサイトメトリー法にて現在行っている。
②これら免疫抑制性細胞と共培養することでγδT細胞の癌細胞に対しての抗腫瘍効果減弱を確認することができれば、次のステップはこれら免疫抑制性細胞がparacrine, autocrineに放出するchemokine, cytokineの定量を、培養上清を用いてELISA法にて行うγδT細胞を疲弊させる分子の同定へ進む予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

免疫抑制性細胞を人工作製する作業を複数回行っている。具体的にはTAMの人工作製のため細胞株THP-1にPMA(200 nM)の添加し24時間後にM0マクロファージへ分化させ、後にIL-4(20 ng/mL)を添加し更に48時間インキュベートしM2マクロファージへ分化させている
TAMへ分化したことの確認作業はWestern Blotting法でTAMに特異的に発現するCD204の定量を行っているが、結果の再現性にかけるため試薬濃度を変更しながら最適な条件を模索している段階である。
CAFの人工作製については、細胞株NIH3T3にTGFβ(20 ng/mL)を添加して48時間後にCAFへ分化したことの確認作業はWestern Blotting法でCAFに特異的に発現するαSMAの発現で確認しているが同じく結果の再現性にかけるため試薬濃度を変更しながら最適な条件を模索している段階である。

今後の研究の推進方策

次年度以降も引き続きγδT細胞の抗腫瘍効果に対する免疫疲弊の検討は続けていく予定である。同時に、トランスレーショナルリサーチを推進するため細胞処理センター(Cell processing center: CPC)運用法の確立作業開始に着手できるよう準備を行っていく。インフォームドコンセントの得られた泌尿器悪性腫瘍患者より末梢血を採血し(京都府立医大倫理審査委員会決定通知番号:ERB-C-862)、単核球分離後、ビスホスホネート製剤およびヒト遺伝子組換えIL-2を用いて、健常者ボランティアでの検討と同様に①γδT細胞を大量に増幅培養することが可能か②癌細胞へのエフェクター細胞としての役割は問題ないか、を検討課題としていく。

次年度使用額が生じた理由

予備検討にとどまったため新規の物品購入に対する費用が少なかった。免疫疲弊の現象が確認され次第、抗体などの物品購入をすすめる方針である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Sphere-derived prostate cancer stem cells are resistant to gd T cell cytotoxicity2020

    • 著者名/発表者名
      Masatsugu Miyashita, Mako Tomogane, Yuichi Nakamura, Teruki Shimizu, Atsuko Fujihara, Osamu Ukimura, and Eishi Ashihara
    • 雑誌名

      Anticancer Research

      巻: 40(10) ページ: 5481-5487

    • 査読あり
  • [学会発表] 前立腺がん幹細胞に対するγδT細胞の抗腫瘍効果2020

    • 著者名/発表者名
      宮下雅亜、友金眞光、佐野友亮、清水輝記、藤原敦子、浮村 理、芦原英司
    • 学会等名
      第79回日本癌学会学術総会
  • [学会発表] 前立腺がん幹細胞に対するγδT細胞の抗腫瘍効果検討2020

    • 著者名/発表者名
      宮下雅亜、友金眞光、清水輝記、藤原敦子、本郷文弥、芦原英司、浮村 理
    • 学会等名
      第29回泌尿器科分子・細胞研究会

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公開日: 2021-12-27  

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