動物実験においては、マウスに対して各種免疫抑制剤を経口投与し外部業者に委託し腸内細菌叢を検討したところ、各種免疫抑制剤で特徴的な腸内細菌叢があることを確認した。また各種免疫抑制剤投与による筋量の変化も確認され、これを現在ミトコンドリア機能や活性酸素種、免疫機能に着目し、各種検討を行っており、これらの結果と腸内細菌叢のとの関連を導き出し、関与する液性因子(栄養・酸化ストレス・炎症・サルコペニアに関連する因子を抽出済み)を検討する。また、腎機能に関しても免疫抑制剤との間に関連が認められ、特にカルシニューリン阻害剤については腎線維化と関連することが示唆された。この解析から得られた結果から、栄養障害や筋障害、炎症状態に関する候補遺伝子を同定し、それに関する化合物や中和抗体、あるいはsiRNA大量投与を準備し、検証実験を行う予定である。検証実験では、栄養障害や筋障害、酸化ストレスに対して見出された予防法が免疫抑制剤による種々の障害を抑制すると同時に、腎機能が抑制されないかを検討している。臨床研究においてもコロナ禍の影響により目標症例数には達していないが、腸内細菌叢解析は経時的に糞便を収集し、その都度外部業者に解析を依頼し、糞便の腸内細菌叢を解析した。術前の体組成評価・栄養状態アンケート・血液・尿・糞便等も着実に収集できており、また血液検体や尿検体、移植腎組織検体を収集し保存している。これらはマウスを用いた動物実験で得られた結果をもとに栄養障害マーカーや筋障害マーカー等の変動を検討する予定である。
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