研究課題/領域番号 |
20K18125
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
箱崎 恭平 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (70813426)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | AXL / GAS6 / 腎細胞癌 / 腫瘍免疫微小環境 / がん免疫ゲノミクス解析 |
研究実績の概要 |
本研究では、①腎細胞癌におけるAXL、GAS6発現プロファイルと腫瘍免疫微小環境との関連を明らかにし、Cabozantinib治療のコンパニオン診断を可能にするバイオマーカーを確立すること、②腫瘍内不均一性に支配されるAXL、GAS6発現に関連する遺伝子変異やエピジェネティック変化を明らかにすることを目的に掲げた。193検体の腎細胞癌(淡明細胞型原発巣:105例、転移巣:47例、非淡明型原発巣:41例)の腫瘍中心部(TC)・腫瘍辺縁部(IM)を併せ持つ組織マイクロアレイを作成し、AXL/GAS6に加えて、獲得免疫10因子、自然免疫5因子、癌代謝5因子、腫瘍間質・幹細胞4因子を免疫染色し、自動セルカウントを行い、解析した。また、43例で次世代シーケンシング解析を行い、39例でDNAメチル化アレイを行った。 結果、193検体は全てTC・IMにおけるAXL/GAS6の発現強度でスコア化(AXL/GAS6 score:0-4)し、3群(low~int.~high)に分けた。淡明細胞型原発巣では、high群はlow群と比し有意に予後不良で、分子標的薬治療に対して耐性を示した。淡明細胞型原発巣・転移巣ともに、high群は腫瘍免疫が抑制された表現型を示し、AXL/GAS6 score上昇に併せて癌代謝の関連因子も発現上昇を認めた。AXL/GAS6 scoreは臓器・サブタイプ特異的な変化を認め、肺転移・papillaryでは低く、sarcomatoid ・転座型・集合管癌では高い傾向を認めた。網羅的なゲノム解析では、AXL/GAS6 score上昇はPI3K-mTOR pathwayの変異と関連し、エピゲノム異常 もhigh群に特徴的なDNAメチル化が存在することを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね行いたい研究が施行でき、その結果からまた一定の結論を得ており、論文作成等の報告ができるレベルになっているため。
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今後の研究の推進方策 |
論文投稿を行うと同時に、国際学会等での発表を行っていく。 また、その過程で生じうる、疑問点や周囲からの指摘を踏まえ、追加実験を行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID19の感染拡大により十分な学会発表等ができなかった。 追加実験を行い、国際学会等での発表を考えている。
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