研究課題/領域番号 |
20K18128
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
植田 浩介 久留米大学, 医学部, 講師 (60569440)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 腸内細菌叢 / 漢方薬 / 免疫チェックポイント阻害薬 / 腎細胞癌 |
研究実績の概要 |
本研究では漢方薬(十全大補湯、補中益気湯、大建中湯、大黄甘草湯、抑肝散、桂枝茯苓丸)を用いて、抗PD-1抗体併用による抗腫瘍効果の解析、漢方薬と抗PD-1抗体併用による免疫動態の解明、漢方薬と抗PD-1抗体併用よる腸内細菌叢の変化の解明を行い、抗PD-1抗体の効果における影響と腸内細菌叢との関係性を明らかにしていくことである。まず、我々は漢方薬が腫瘍増殖に与える影響についてマウス腎細胞癌細胞株(RENCA)移植マウス(BALB/c)を用いて検討を行った。本検討においては大黄甘草湯を投与したマウスにおいて最も腫瘍増殖が抑制されていることが確認されたが、その他の漢方薬を投与したマウスにおいてはコントロール群と比較し、有意な腫瘍増殖抑制効果は認められなかった。さらに腫瘍増殖抑制効果が認められた大黄甘草湯と抑制効果が認められなかった十全大補湯と抗PD-1抗体併用における抗腫瘍効果の増強効果について検討を行った。大黄甘草湯と抗PD-1抗体を併用した群においては有意な差は認めてはいないが、腫瘍増殖抑制効果が見られたのに対し、十全大補湯併用群においては抗PD-1抗体の腫瘍増殖効果が認められなかった。 現在、摘出した腫瘍組織内のtumor infiltrating lymphocytes (TILs)、regulatory T cells (Treg)の浸潤プロファイルについて免疫組織化学を用いて検討しているところである。また、採取した糞便を16s RNA系統解析に提出し、漢方薬が腸内細菌叢および抗腫瘍効果に及ぼす影響について解析する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
漢方薬投与での腫瘍増殖能を観察する動物実験、漢方薬と抗PD-1抗体の併用での抗腫瘍効果を観察動物実験は終了している。採取した組織検体ならびに糞便検体の各種解析を行い、漢方薬が腸内細菌叢に与える影響や抗腫瘍効果に与える影響について解析していく予定である。しかし、新型コロナウイルス感染症に伴う関連の業務、実験機材の搬送の遅れなどがあり、計画についてはやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
実験計画に基づいた研究を遂行する。漢方薬間での腫瘍増殖効果、抗PD-1抗体を用いた漢方薬との併用効果を解析する動物実験については既に終了しており、現在それらの腫瘍中の免疫細胞浸潤に関して検討を行っている。また、これらの検討で採取したマウス糞便を16s rRNA菌叢解析に提出し、腸内細菌叢の変化および組成についても検討し、漢方薬が腸内細菌叢に与える影響ならびに抗腫瘍効果に与える影響についても明らかにしていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画がやや遅れていることから、今後検討を進めていく際に必要となる実験器具の購入ならびに解析に必要な費用が使用されていない。本年度、実験を遂行するにあたり必要な費用となってくる。
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