【背景】Tripartite motif protein (TRIM)は、ring fingerドメイン、B-boxドメイン、coiled-coilドメインの3つの構造が特徴的なタンパクである。TRIM蛋白は、ユビキチン経路に関与し、タンパクのdegradationに関わる。TRIM蛋白は約80種類ほど同定されており、その中でもTRIM44は悪性腫瘍において癌を促進する方法に働く遺伝子として胃癌、食道癌、頭頚部癌、膵癌、大腸癌、乳癌、腎癌、子宮頸癌、など複数の癌種で関与していることが分かっている。【目的】膀胱癌におけるTRIM44の発現と臨床的意義、そしてその機能に関して調査することを目的とした。【方法】1.膀胱癌におけるTRIM44の免疫学的染色実験を行い予後との関連を調べる2.機能実験はgain of functionとloss of functionにおいてそれぞれMTS assayとmigration assayを施行【結果】膀胱癌において、TRIM44の免疫学的染色実験をおこなったところ、悪性度の高い癌で強発現しており予後不良とも関連を認めた。また、細胞実験においては、gain of function実験では膀胱癌細胞株において細胞増殖を促進する方向に作用し、loss of functionでは細胞増殖を抑制する方向に作用することがわかった。また、遊走能を調べたmigration assayでもTRIM44は細胞遊走能を促進していた。【考察】膀胱癌においても同様に癌を促進するように働く可能性が高い。治療標的あるいは同シグナルが膀胱癌の病勢を反映するバイオマーカーになるのであれば創薬あるいは新しい腫瘍マーカーとなる可能性もある。
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