以前の研究で前立腺癌細胞株であるLNCaPを用いて、前立腺癌細胞に特異的に結合するペプチド配列を同定した。同定したペプチドがLNCaP細胞以外の前立腺癌組織にも結合するか確認を行うため、前立腺癌患者から採取した前立腺癌組織と結合させ、ヒト前立腺癌組織及び前立腺正常組織への結合の評価を行った。同定した前立腺癌組織標的ペプチドにビオチンを付加した標的ペプチドを用いて異なる前立腺癌細胞株及びヒト臨床検体と反応させDAB発色行ったが、染色の評価が難しくビオチン付加標的ペプチドのみでは不十分であったため、蛍光蛋白を付加した標的ペプチドを作製した。現在ヒト検体及び組織アレイを用いて染色を行う準備を行っている。本研究で実際にヒト検体に先に同定した組織標的ペプチドが結合することが確認できれば、実際のヒトで発生した様々な種類の前立腺癌に対して同定した標的ペプチドが結合することが可能であることが証明される。さらに、今後前立腺の正常組織及び腎の正常組織とも同様に結合させ評価することで、実際のヒト臨床検体においても前立腺癌組織にのみ特異的に結合されるか判別することが可能である。ヒト臨床検体でも前立腺癌組織に特異的に結合することが確認できれば、毒性の検証は必要であるが、先に同定したペプチドは臨床応用できる可能性が高いと考えられる。上記が確認できれば前立腺癌組織に選択的に薬剤を輸送するシステムの構築が可能となり、同ぺプチドに治療ペプチドやsiRNA、miRNAなどの核酸を結合させ直接の担体として用いたり、ウイルスベクターやリポソームなどの担体と併用して標的ペプチドとして用いたり幅広い応用が期待でき、今までにない新たな治療方法が開発できると考える。
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