研究課題/領域番号 |
20K18150
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
日向 泰樹 自治医科大学, 医学部, 講師 (50741279)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 尿路 / 間葉 |
研究実績の概要 |
尿路に重大な異常を示す先天性疾患の治療方法の確立に、多くの困難が伴っている。特に尿路の低形成に対して、手術治療の効果は限定的であり、根本的に術後の間葉層、平滑筋層を再建することが求められている。 小児泌尿器科領域において、CAKUT(Congenital anomalies of kidney and urinary tract:先天性腎尿路異常)を含む尿路異常の根本的治癒に向けて、尿管の間葉、平滑筋層の分子発生メカニズムの解析に基づいた、尿路系に関する様々な再生医学研究を行った。先端的外科治療を行う前に、尿路の状態を解析するためのassay系が必要となり、in vivoで尿路を評価するために、2020年度は世界で初めてマウスの尿路の評価系を作成し、publishした(SREP 2020)。尿路の評価として、インドシアニングリーン (ICG)ならびに造影剤を用いて、尿路の描出を可能とした。今回樹立した評価系を用いて、マウスの尿路の組織損傷に対する上皮、間葉の変化を評価した。申請者がuniqueに樹立したassay系を用いて、上皮、間葉細胞由来の各種のコンポーネントを今後解析する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度は、治療の評価系としてのassay系を用いた尿道周辺組織の損傷の評価を行った。 尿の漏出による組織の損傷状態について、世界的にエビデンスが不十分な状態であるため、世界で初めて、マウス尿道損傷モデルを作成し、尿漏出による、組織損傷、線維化の評価を行いつつある。この実験系の樹立、尿道損傷後の尿の漏出により、sinusoid構造が破壊され、尿道狭窄を呈することが、上皮のE-cadherinならびに間葉のVimentinの発現の動態についての解析から明らかとなりつつある。現在論文を投稿準備中である。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、2020年度で報告した評価系、マウスモデルをさらに発展させる。尿の漏出による組織の損傷について、尿道損傷後の尿道狭窄について解析する。尿道にはvascular richな尿道海綿体という特徴的な構造が存在することが知られており、病態としても未知なspongio-fibrosisという概念がある。それに関する実験モデルとしての適応性や将来性を判断する情報を得るため、今回のモデルをさらに解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究者の異動により、研究状況の準備等で、繰越が生じた。予定通りの研究で使用する予定である。
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