癌研究におけるCD73依存的な細胞外アデノシン代謝の役割は、多岐にわたる分野で注目されているが、膀胱癌領域における報告は少ない。本研究ではCD73の発現が現在臨床で用いられている膀胱癌治療との関連について着目した。近年の腫瘍免疫学の発展によって、膀胱癌はヒトの癌のなかでも遺伝子変異が多く、免疫チェックポイント阻害剤が有効であることは周知の事実となった。CD73を通して癌免疫応答を解明することで、BCG注入療法の治療効果予測因子を確立するのみならず、転移・切除不応性膀胱癌の臨床で用いられている抗PD-1/PDL-1抗体の適応や最適な免疫チェックポイント阻害剤の併用についても理解が進んだ。
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