【目的】ルテオリンは緑黄色野菜などに含まれるフラボノイドの一種であり、消化器癌における抗腫瘍効果や膀胱癌の発癌予防効果が部分的に解明されつつある。本研究では、上皮性卵巣癌に対するルテオリンの効能を、細胞株や患者腫瘍由来モデル (PDX) を用いて検証した。 【方法】卵巣癌細胞株A2780とES2を用いて細胞増殖、細胞周期、細胞死、リン酸化アレイを行った。当科で樹立したPDXモデルであるTIL15を用いて、担癌マウスにおけるルテオリンの抗腫瘍効果を検証し、摘出腫瘍の組織学的評価を行った。 【成績】ルテオリンの投与によって、卵巣癌細胞株の増殖が濃度依存性に抑制された。ルテオリン投与によってアポトーシスは亢進せず、有糸分裂の阻害によって細胞増殖を抑制することがわかった。ルテオリンの投与によってERK1/2のリン酸化が低下し、MAPK経路の抑制を介して有糸分裂抑制効果を示すことが示唆された。PDXにおいては、ルテオリン投与群ではコントロール群に比して有意な腫瘍径の縮小が認められ、シスプラチンとの併用によって相加効果が認められた。摘出腫瘍の免疫染色では細胞周期M期のマーカーであるリン酸化ヒストンH3 (Ser10) が、著明に抑制されていた。 【結論】ルテオリンは上皮性卵巣癌に対しても増殖抑制効果や抗腫瘍効果を示し、初回治療や維持療法において活用できる可能性が示唆された。
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