子宮体がんの増加に伴い、進行/再発などの予後不良例や妊孕能温存希望例が増加している。化学療法や分子標的薬が試行されているが未だ十分な結果が得られておらず、新たな治療戦略が必要とされている。本研究の目的は、乳がんで長期の効果と安全性が確認されているCDK4/6阻害剤を軸にした新たな治療戦略を乳がんと同じくホルモン依存性腫瘍である子宮体がんにおいて確立をすることである。本研究では、既存の細胞株にはホルモン感受性と言える細胞株が存在しないため、ホルモン感受性子宮体がん株の樹立が非常に重要である。培養方法の検討が必要であると考え、ホルモン感受性腫瘍と推測される患者腫瘍検体から上皮成分を抽出し、organoid cultureを用いて子宮体がん上皮細胞の培養に成功した。この培養細胞の培養条件の設定を行い、長期継代培養およびcell lineの確立を目指した。しかしながら、5回前後の継代は可能であったものの、cell lineの確立には至らず、また継代を重ねると増殖速度が遅くなったり、見た目の変化も来したことから、長期培養の確立には至らなかった。さらに、このorganoid cultureを用いて治療薬剤の検討を行う予定であったが、長期培養が困難であったため、培養条件の検討が行えず、また一般的な平面培養ではないたため増殖評価や機能評価を行う際に新たな実験系の確立が必要であったがその確立には至らず、薬剤の治療効果を検討することができなかった。
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