研究課題/領域番号 |
20K18171
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
八幡 環 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (90647562)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | AAV-CRISPR/Cas9 system / 卵巣癌 / PD-L1 |
研究実績の概要 |
本研究ではAAV-CRISPR/Cas9 systemを用いて、卵巣癌に発現するPD-L1遺伝子を欠損させることで、新規遺伝子免疫療法の有用性を実証することを目的としている。初年度(2020年)は、マウス卵巣癌細胞株 (ID8)におけるAAV粒子のin vitro実験において、Controlと比較して、AAV-down-Pdl1およびAAV-up粒子をtransduceした細胞株において、PD-L1発現が低下していることを確認した。 2021年度には、iv vivo実験を実施し、ID8をC57BL/6 mice(WT)に腹腔内投与した腹膜播種モデルにおいて、AAV-down-Pdl1およびAAV-up粒子を腹腔内投与後、生存率および播種重量をcontrol-AAV粒子を投与した群と比較した.結果、AAV-down-Pdl1およびAAV-up粒子投与群では、control-AAV粒子投与群と比べ、有意に腫瘍抑制効果と延命効果を認めた.さらにPD-L1-AAV粒子投与群では、control-AAV粒子投与群と比べ、腫瘍内のCD4陽性T細胞、CD8陽性T細胞は有意に増加する一方で、FOXP3陽性Treg細胞は有意に減少することを確認した。これまでの成果にて、PD-L1-AAV粒子を用いた治療は卵巣癌の新規免疫遺伝子治療の基盤となり得る可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
in vivo実験にてAAV-down-Pdl1およびAAV-up粒子の腫瘍抑制効果が示された点、腫瘍内の腫瘍免疫の変化がみれれた点より、おおむね順調に研究は進んでいると考える。
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今後の研究の推進方策 |
in vivoでの実験結果を踏まえて、今年度は、AAV粒子の有害事象についての検証を行い、学会発表や論文発表を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度でAAV粒子での有害事象の実験を考えていたが、実施に至らなかったため、差額が生じたと考える。今年度は去年度に予定していた。今年度、同実験を実施する予定であり、また学会発表や論文発表における費用が必要なため、繰越での使用を希望します。
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