本邦の体外受精の治療周期数の約60%は高齢不妊患者である。高齢不妊の原因は、卵子および着床前期胚の質の低下であるが、その分子機構は全てが解明されていない。申請者は、高齢患者の胚盤胞で炎症性サイトカインのCXCL5が高発現することを確認しており、本研究ではCXCL5を標的とした新規老化バイオマーカーの確立と、CXCL5の抑制による高齢患者の妊娠率改善の臨床試験を目的として研究を行った。高齢患者の卵丘細胞を採取しCXCL5を測定したところ年齢と相関関係にあることが確認された。しかし、胚の形態学的評価とは相関しなかった。本研究期間中にヒト化抗CXCL5抗体を作製し、現在は臨床試験の準備段階である。
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