研究課題
本研究の目的は①子宮頸がん妊孕性温存手術(子宮頸部円錐切除術や広汎子宮頸部摘出術)後妊娠と非手術後妊娠における腟内細菌叢の相違を明らかにし、子宮頸がん妊孕性温存手術が妊娠における腟内環境制御に与える影響を明らかにすること、②子宮頸がん妊孕性温存手術後妊娠における腟内環境の妊娠中継時的変化を明らかにすることである。2023年3月末までに152人の患者から同意を得て、合計428検体を採取した。円錐切除術後1例、広汎子宮頸部摘出術後1例で妊娠12週以降の流産となり、非子宮手術後症例も含めた12例で早産分娩に至った。2023年夏を目安に最終解析を行い、子宮頸部円錐切除術後および広汎子宮頸部摘出術後妊娠と非手術後妊娠の腟分泌物細菌叢の違い、および子宮頸がん妊孕性温存手術後妊娠における腟内環境の妊娠中継時的変化を明らかにする予定である。また、本研究を遂行するために必要な臨床データとして、円錐切除術後妊娠においては慶應義塾大学医学部産婦人科の関連病院である18施設で臨床データを用いた早産予測因子を明らかにする多施設共同研究を行い、レポートがJ Matern Fetal Neonatal Medにpublishされた。また、広汎子宮頸部摘出術後妊娠については妊娠初期流産に対する対応に関するレポートがActa Obstet Gynecol Scandに、広汎子宮頸部摘出術後妊娠の管理に関する総説がGynecol Oncolにそれぞれpublishされた。2022年にはRCOG2022, 日本人類遺伝学会で研究成果を発表し、2023年5月には日本産科婦人科学会で発表予定である。
2: おおむね順調に進展している
子宮頸がん術後妊娠における早産予測因子を探索するため、腟内細菌叢解析を実施中であり、現在順調に症例数を重ねている。円錐切除術後妊娠においては慶應義塾大学医学部産婦人科の関連病院である18施設で臨床データを用いた早産予測因子を明らかにする多施設共同研究を行った。その結果、上皮内腺癌もしくは子宮頸癌の診断で円錐切除術を施行された患者や早産既往がある患者では早産が多いことが判明した。この報告は「Adenocarcinoma in situ or early-stage cervical cancer is a risk factor for preterm delivery after cervical conization: a multicenter observational study」として、J Matern Fetal Neonatal Medにpublishされた。広汎子宮頸部摘出術後妊娠については妊娠初期流産に関するレポートが「Expectant management for early pregnancy miscarriage after radical trachelectomy: a single-hospital-based study」として、Acta Obstet Gynecol Scandに、妊娠管理のreviewを「Management of Pregnancy After Radical Trachelectomy」として、Gynecol Oncolにそれぞれpublishされた。さらに研究成果の一部を学会発表している。現在、症例を蓄積しているところであるが、順調にリクルートしている。
本年は5月に日本産科婦人科学会で広汎子宮頸部摘出術後妊娠の細菌叢解析の中間報告を行う予定である(ポスター発表)。夏まで症例を蓄積し、結果が出たところで最終結果の論文作成を行う予定としている。
新型コロナウイルス感染症拡大により学会の開催がWebとなり、旅費などを使用しなかったため。2023年度は多くの学会が現地開催となることから旅費として使用する。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
The Journal of Maternal-Fetal & Neonatal Medicine
巻: 35 ページ: 9837~9842
10.1080/14767058.2022.2056835