研究実績の概要 |
当院で2019年6月から2023年7月に周産期管理を行った広汎子宮頸部摘出術後妊娠(RT:25例)、子宮頸部円錐切除術(CZ:13例)と子宮頸がん妊孕性温存手術を受けていない妊婦(コントロール:81例)を対象として、妊娠初期、中期、後期の3回腟分泌物を採取した。なお、抗菌薬腟錠を使用していた症例については対象から除外した。採取した腟分泌物は16SリボソーマルRNA解析を行い、網羅的な細菌叢を明らかにした。 早産率についてはRTが55%、CZが23%、コントロールが7.4%であった。RT3期間とも、Lactobacillus spp.の比率については両群間で有意差を認めなかった。一方で、コントロール群と比較して、RT群では初期にStreptococcus spp., Enterococcus spp., Prevotella spp.が、中期にはPrevotella spp. and Dialister spp.が、後期にはAerococcus spp., Prevotella spp., Dialister spp., and Mycoplasma spp.が多かった。また、コントロール群と比較して、RT群やCZ群ではα多様性が高いことが判明した。 RTおよびCZの子宮頸がん妊孕性温存後妊娠では頸管腺が欠如し、腟内細菌叢が変化することが早産の一因になっている可能性が示唆された。 上記内容は日本産科婦人科学会学術講演会を中心として複数の学会にて報告した。 なお、RT後妊娠については周産期管理法のReviewや妊娠12週未満での流産に対する対応についての論文を、CZ後妊娠については組織型などの詳細なデータから早産予測因子を明らかにした論文をpublishした。
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