研究課題
本研究は、卵巣癌の微小残存病変に対する新規治療標的を同定するため、卵巣癌モデルマウスおよび化学療法前後の臨床検体を用いた解析を中心に研究行った。卵巣癌モデルマウスを用いた解析においては、卵巣高異型度漿液性癌(high-grade serous carcinoma: HGSC)の中でも、白金製剤やPARP阻害薬などの化学療法に対しての感受性が低く予後不良であるBRCA1/2遺伝子の異常を伴わないHGSCを模倣するマウスモデルを独自に開発した。開発した複数のHGSCマウスモデルから、HGSCオルガノイドを樹立し、RNA-seq解析, Proteome解析をおこなった。Gene Set Enrichment Analysisを行ったところ、上皮間葉転換(EMT)関連の遺伝子の発現が上昇しているHGSCオルガノイドでは、化学療法に対して抵抗性を有し、マウスモデルの予後不良と関連していた。TCGAデータベースより、BRCA1/2遺伝子の異常を伴わない進行HGSC症例202例においてGene Set Variation Analysisを行ったところ、EMTの高発現が見られた群は有意に予後不良であった(p<0.05)。続いてヒト化学療法前後の臨床検体を用いて、Opal蛍光多重免疫染色システムによる解析をおこなった。化学療法前と比較して、Cytokeratin陽性の卵巣癌の微小残存病変において、EMT関連タンパクであるVimentinが有意に高発現していることが明らかとなり、EMT関連遺伝子の発現と卵巣癌の微小残存病変の生存メカニズムとの関連が示唆される結果を得た。
すべて 2022 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (5件)
Biochemistry and Biophysics Reports
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