今後の研究の推進方策 |
①Mg欠乏下で作成した妊娠マウスでPE様表現型を呈するか Mg欠乏のみでは血圧変動は起こらなかった。我々のこれまでの研究から、COMT不全はAⅡ少量負荷(Ueki, N et al, Hypertension, 2017)、高脂肪食負荷(Kanasaki, M et al, Scientific Reports, 2017)や塩分負荷(Kumagai, A et al, Hypertension, 2021)などなにか条件が加わったときに血圧上昇や耐糖能異常などを惹起することがわかっている。COMT阻害剤使用下では妊娠というトリガーのみでPE様表現型を呈する事が示された(Kanasaki K, Nature, 2008)が、Mg欠乏のみではCOMT阻害が完全ではないため妊娠中の高エストロゲン状態では十分は2-MEが産生されると推測される。今後は低Mgに高塩分負荷や少量AII負荷などを追加して検討していく。 ②PEヒト臨床サンプルバンクを作成し、血漿Mg・2-ME・Homocysteinen濃度、COMT活性、COMT遺伝子多型・haplotypeと臨床パラメーターの解析を行う すでに順天堂大学産科婦人科学講座(分娩件数:年間約1500例)において、倫理委員会の承認も得ているので、今年度からサンプル採取を開始する。妊婦の血清と随時尿を経時的に採取、初期段階で母体遺伝子多型分析のため単核球も採取する。採血は妊娠初期、中期、後期(分娩時)、産褥期に行い、分娩時は胎盤を採取する。また、硫酸マグネシウムを使用する場合にも、投与直前に採血を行う。目標症例は各群(正常妊娠、PE群)各50例とする。血圧推移は妊婦検診時の測定値と自宅血圧や入院中の測定値を参考にする。現在引き続きサンプルを収集している。
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