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2022 年度 実施状況報告書

妊娠高血圧腎症に対するCOMT活性と塩分感受性高血圧の影響

研究課題

研究課題/領域番号 20K18175
研究機関順天堂大学

研究代表者

佐藤 杏奈  順天堂大学, 医学部, 非常勤助教 (20869630)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード妊娠高血圧症候群 / 妊娠高血圧腎症 / COMT / マグネシウム欠乏 / 2-methyoxyestradiol / NaCl共輸送体
研究実績の概要

妊娠高血圧腎症(PE)既往は閉経後塩分感受性高血圧(SSH)、PE母体児における代謝高血圧疾患リスクとの関連が示唆され、遺伝素因を背景とした共通の分子機構を有する可能性がある。2-methoxyestradiol(2-ME)はマグネシウム(Mg)依存性酵素であるcatechol-o-methyltransferase (COMT)により産生されるエストロゲン終末代謝産物であり、2-ME欠乏はPE惹起と関連する。本研究ではMg欠乏がCOMT活性に及ぼす影響、2-ME欠乏とSSH発症の相関を遺伝的COMT活性の異なる2系統のマウスを用いて解析した。雄マウスではMg欠乏は遺伝的COMT低活性を有するDBA/2Jマウスでのみ高塩分負荷で有意なCOMT活性低下とSSHを発症した。遺伝的強活性を有するC57BL/6JマウスでもCOMT阻害剤によりSSHが惹起された。両SSH群では腎臓のNaCl供輸送体経路が活性化しており、2-ME投与は本経路の抑制と降圧効果を示した。雌DBA/2Jマウスにおいては卵巣摘出マウスのみMg欠乏環境下で有意なCOMT活性低下とSSHが発症した。以上より、Mg欠乏は遺伝的COMT低活性との相互作用により、2-ME欠乏を惹起し、SSH発症に寄与する事が示唆された。雌DBA/2Jマウスの結果は、閉経後女性でのSSH発症リスク上昇を示唆した。また、2-ME欠乏は閉経後SSH、PEに共通する分子機構である可能性が高い。本研究において、遺伝的なCOMT活性低下とMg欠乏がさらなるCOMT不全と2-ME欠乏を惹起し、SSHを誘導する事が明らかとなり、COMT活性を鑑みたMg欠乏是正の必要性が示唆された。雌マウスに正常Mg、低Mg食を与えて血漿Mg値が変化した後に妊娠させたモデルでは、DBA/2Jマウスでも妊娠中の血圧にMg依存性の変化は認めなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナ感染症により、胎盤の採取に時間を要しているため。

今後の研究の推進方策

実際にヒト胎盤を用いて、正常妊娠胎盤と妊娠高血圧腎症胎盤におけるCOMT活性を測定し、比較検討する。
現在までの研究成果から、COMTの代謝産物である2-ME濃度が感度以下で測定できない点が今後の課題であった。
このため、プロトコルの改良を検討する必要があり、本研究の根元的な目的であるCOMT活性評価を母体の遺伝子多型解析から評価検証する必要があり、本備品を用いてシーケンスデータの解析を実施する。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナ感染症により研究材料となるヒト胎盤のサンプル採取が遅延しているため、解析費用がまだ発生していないため。

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公開日: 2023-12-25  

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