研究課題/領域番号 |
20K18176
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
黒田 高史 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (70869552)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 婦人科癌 / ARID1A / メタボローム |
研究実績の概要 |
ARID1A遺伝子は卵巣明細胞がん,卵巣類内膜がん,子宮内膜がんで高頻度に機能喪失性変異を有する.婦人科がんでは遺伝子変異に基づく個別化治療法の開発がunmet medical needとなっている.共同研究において,ARID1A遺伝子変異がんでは,SLC7A11の発現低下により抗酸化代謝物グルタチオンの量が減少するというメタボロームに着目し,グルタチオン阻害薬を使うことで抗腫瘍効果が示されることを明らかにしてきた.本研究ではメタボロームの発がん機序への関連とメタボロームを標的とした治療法がARID1A遺伝子変異婦人科がんで対象となるかを探索する.ARID1A遺伝子とSLC7A11遺伝子の相関の解析に関して,まず,ARID1A遺伝子とSLC7A11遺伝子の発現を免疫組織学的染色で評価した.ARID1Aに関しては既存の染色方法と同様の方法で施行し,既報と類似した結果を得た.SLC7A11に関しては婦人科癌でのデータが乏しかったことから,他の癌種における手法を用いて染色を行った.ARID1AとSLC7A11の染色強度,染色の有無に関して解析を行った.卵巣明細胞がんでは漿液性がん,類内膜がん,境界悪性腫瘍と比較し,相関が高いことを確認した.また,quantative-PCRでも同様の傾向を確認した.また,臨床検体を用いたメタボロームの可視化を行い,グルタチオンの可視化に成功した.それらの内容を第73回日本産科婦人科学会学術講演会のInternational session work shopで発表を行い,International session work shop awardを受賞した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19の影響により、2020年度開始後に臨床検体の収集に関して制限が出たことで、やや研究が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
臨床検体を用いたqPCRによるARID1AとSLC7A11の相関を確認する。またメタボロームに関して追加で可視化を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響により2020年度開始直後に臨床検体の採取の面で、当初の計画より遅れを生じたため、解析対象が予定より少なかったため、次年度使用額が生じました。現在は、臨床検体の集積も計画に近い状態で進められています。
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