女性生殖器における細菌叢は恒常性維持に重要な役割を担っている。腟由来株を中心にLactobacillus同士の培養上清をお互いに添加したところ、細菌増殖にほぼ有意な変化は認めなかった。このことから腟細菌叢がLactobacillus主体になる機序は、細菌間の競合よりも宿主の選択圧が働いている可能性がある。またGardnerella vaginalisの培養上清は、子宮頸部上皮細胞から抗菌ペプチドであるElafinの分泌を有意に促進した。子宮内細菌叢では、L. crispatusの生菌及び培養上清がトロホブラストの浸潤を有意に促進したため、着床に影響を及ぼす可能性がある。
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