研究実績の概要 |
子宮内感染は、早産や胎児炎症反応症候群と関連します。また、高度な炎症反応は新生児の高度後遺症や精神発達遅延をきたす予後不良因子です。そのため、早期に子宮内感染や胎児感染を予測診断することは重要です。まず、次世代シークエンスを用いて16S_rDNAを網羅的分析し、子宮内感染の病態生理を明らかにしました(Urushiyama, Kurakazu et al., Scientific Reports, 2017)。次に、母体血中の炎症性バイオマーカーに羊水中の炎症性バイオマーカーを組み合わせることで高精度に子宮内感染を予測診断できることを明らかにしました(Kurakazu et al., Placenta, 2019)。さらに、マイクロRNA(miRNA)が絨毛膜羊膜炎のバイオマーカーになり得るか検討しました。miR-4535およびmiR-1915-5pの発現は、羊水中16S_rDNAコピー数と有意に相関しており、絨毛羊膜炎の予測診断のバイオマーカーになり得ることを明らかにしました(Kiyoshima, Kurakazu et al., Future Science, 2020)。今回、絨毛膜羊膜炎のバイオマーカーになり得た羊水中のmiR-4353とmiR-1915-5pを用いて、胎児感染を臨床予測できるか検討しました。胎児感染は、新生児の血液バイオマーカーと新生児抗菌薬治療あり症例と定めました。羊水中のmiR-4353とmiR-1915-5pは、胎児感染と中等度の精度でその罹患率を臨床予測できる可能性があることが示されました。一方で、羊水中の羊水中16S_rDNAコピー数やIL-6値では有意な関連は認めませんでした(Yoshikawa, Kurakazu et al., Placenta, 2021)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
絨毛膜羊膜炎のバイオマーカーになり得た羊水中のmiR-4353とmiR-1915-5pを用いて、胎児感染を臨床予測できるか検討しました。胎児感染は、新生児の血液バイオマーカーと新生児抗菌薬治療あり症例と定めました。羊水中のmiR-4353とmiR-1915-5pは、胎児感染と中等度の精度でその罹患率を臨床予測できる可能性があることが示されました(Yoshikawa, Kurakazu et al., Placenta, 2021)。その他について、おおむね順調に進展している。
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