研究課題
国立がん研究センター中央病院における術前化学療法を受けた卵巣高悪性度漿液性腺癌の手術検体103症例を入手し、screening cohort30症例においてBRCA1/2やTP53などの卵巣がんにおいて報告がある遺伝子変異解析およびDNAメチル化の網羅的解析を行い、治療感受性に関わる候補遺伝子を同定した。また、エンハンサー領域におけるメチル化解析も行い、治療感受性に関わる候補領域として同定した。validation cohortとして45症例の遺伝子変異解析およびpyrosequencingにて候補遺伝子、エンハンサーのメチル化解析を行い、LRCOL1のDNAメチル化(p=0.0028)と8番染色体領域にあるエンハンサーのメチル化(p=0.012)を再現性のある予後不良因子として同定した。これらの知見について、現在論文執筆中である。さらに、LRCOl1がサイレンシングすることによる機能的な意義を解析中である。また、付随研究として、卵巣がんの腫瘍細胞率を推定できるDNAメチル化マーカーとしてZNF154を同定し(R= 0.77, P < 0.0001)、論文として発表した(Med Oncol. 2022;23;39(5):78.)。また、BRCA1の真のプロモーター領域のメチル化を測定するpyrosequencing用のプライマーを作成し、従来の報告よりもメチル化レベルが変異と同程度に予後と関連することを見出した。さらに術前化学療法前のペア検体20例を収集し、比較することで化学療法によりBRCA1のメチル化レベルは低下する傾向にあることも見出し、これらの知見を論文として発表した(Gynecol Oncol. 2022;167(3):513-518.)。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件)
Gynecologic Oncology
巻: 167 ページ: 513-518
10.1016/j.ygyno.2022.10.008.
Medical Onocology
巻: 39 ページ: 78
10.1007/s12032-022-01679-y.