研究課題/領域番号 |
20K18181
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研究機関 | 国立研究開発法人国立成育医療研究センター |
研究代表者 |
小川 浩平 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 周産期センター, 医長 (40526117)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 出生体重 / 蛋白尿 / 尿糖 / 血圧 / 体重増加量 / 糖尿病 / 高血圧 |
研究実績の概要 |
本研究における対象参加者のリクルートを継続し、ここまでで約1500名のデータ収集を行った。このデータベースを用いて出生体重が小さいと、成長後の妊娠において、再び小さい児を出生しやすくなるという傾向を見いだし、出生体重が小さいことは世代を超えて連鎖していくことを明らかにした。本研究結果はPLOS one誌から発表している。 また、本研究では同時に妊婦の母親の健康についても質問紙を用いてデータ収集しており、妊婦が生まれたときの妊娠状況と現在の母親の健康状態についての相関も検討している。ここまでのデータを元に、妊娠中に蛋白尿を認めた症例では、その後腎疾患に罹患しているリスクが約4倍に、尿糖を認めた症例ではその後糖尿病に罹患しているリスクが約3.5倍になっていることが示された。さらに、妊娠中の血圧が、130mmHgから140mmHg、140mmHg以上と上昇するにつれて、将来の高血圧リスクは有意に高くなる(p<0.001)、妊娠中の体重増加量が増加するに従って、将来の糖尿病リスクは有意に高くなる(p=0.011)などの関係を明らかにした。本研究結果は現在海外機関学会誌に論文投稿中である。この結果は、将来の女性の慢性疾患のリスクを事前に捉えることを可能としており、女性の傷害における健康増進に寄与することが期待される。 ここまでのリクルートは順調に行われてきており、今年度はこのデータベースを用いて本研究の中心的課題である2000g未満で出生した児の成長後の妊娠転帰について検討することが出来ると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
必要なサンプル数のリクルートを達成できており、このデータを用いて論文投稿を行った。仮説については想定通りの結果を得ることができた(出生体重が小さいと、生長後の妊娠において小さな児を出産する可能性が高い)。またサブ解析において有意な結果を見いだし論文投稿を行っている。本研究結果は将来の女性の健康を考える上で重要であり、予防医学の観点から有益である可能性が高い。
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今後の研究の推進方策 |
これまで得られたデータから、2000g未満で出生した女性をピックアップし、成長後の妊娠においてどのような転帰になっているのかについて検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度はコロナ感染症拡大の影響で、参加者リクルートに制限を設ける必要があった。 そのため,リクルートに関わる経費が少なくなり、繰越金が発生した。
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