研究課題
本研究では、以前の研究(18K16468)において確立したヒトiPS細胞からミュラー管様細胞の誘導系を使用し、以下の点を確認する。(1)ヒトiPS細胞からミュラー管様細胞を誘導する技術を応用して、マウスES細胞からミュラー管様細胞への誘導系を確立する。(2)このミュラー管様細胞を用いればマウス子宮組織を置換・移植・再生させうることを機能的に確認する。(3)再生を促進するメカニズムとしてM2 macrophageの重要性を証明する。初年度では導入したマウスES細胞株(B6-G2)の維持継代法を確立した。誘導系については使用するサイトカインや低分子化合物が入手出来次第順次進める予定である。徐放材については、計画書に記載したアテロコラーゲンスポンジやパウダーを始め幾つか検討したが、ゲル化せず想定通りの結果を得ることはできなかった。また移植の際に基底層として使用する予定であったコラーゲン膜は廃盤となっていたため、他社製の3型コラーゲンや4型コラーゲンなどのアテロコラーゲン膜を検討したが耐久性に問題があり、移植操作の途中で破膜した。現在別の基材を検討する予定である。子宮部分切除モデルマウスについては、子宮片側の1/3ほどを切除し、再度その切除部分を移植して生着し、個体も生存することを確認した。2021年度は、コラーゲン膜に代わる膜の選定とマウスES細胞からミュラー管様細胞への誘導系を検討し、コラーゲン膜上でミュラー管様細胞を誘導する。
3: やや遅れている
初年度では(1)と、(2)の途中まで実施する予定であったが、(1)については、使用する予定であったサイトカインと低分子化合物がコロナの影響による物流の停滞で入手できず、2021年に入ってからの入手となったため、現在優先的に進めている。(2)については、移植の際に使用するコラーゲン膜は廃番となっていた事、また徐放性atelocollagen spongeについては検討した結果ゲル化しない事が判明した。現在、コラーゲン膜については京都大の亀井博士からファイバーオンファイバーを、atelocollagen spongeについてはアテロコラーゲンインプラントを代用品を検討する予定である。
(1)については、qPCRや免疫染色やフローサイトメーターによる陽性細胞率の解析手法は確立しており、2021年度前半までに完了する予定である。(2)について、ファイバーオンファイバーは亀井博士より供試される予定である事、また子宮の部分切除手術手技は確立している。アテロコラーゲンインプラントについても、入手しており、準備が整い次第進める予定である。
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