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2020 年度 実施状況報告書

難治性不妊治療の臨床応用を目的とした雄性生殖細胞の改良法に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K18190
研究機関滋賀医科大学

研究代表者

岸田 和美  滋賀医科大学, 医学部, 胚培養士 (50582631)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードマウス精巣 / Busulfan / Lactoferrin(LF)
研究実績の概要

精子機能障害におけるLactoferrin(LF)の精巣防護効果に関する研究について検討した。
目的:哺乳類の乳汁に多く含まれているLFは鉄結合性の糖タンパク質である。最近、活性酸素抑制効果や腸内細菌増殖の抑制効果が注目され、広い分野で活用されている。また、放射線障害を防護する顕著な効果が認められていることから、抗放射線被ばく薬剤として試験されている。雄性不妊の原因である造精機能の低下は活性酸素が一因であることから、本研究では抗がん剤(Busulfan:BU)を投与することにより人為的に精巣機能を低下させたモデルマウスを作出し、LFを投与することで外的・内的要因から造精機能の保護が可能になるか検討した。
方法:8週齢ICRオスマウスを4群(各3匹)に分けた(A;コントロール群、B;BU群、C;BU+LF群、D;BU+LF(エサ)群)。Aは生理食塩水を0.3ml腹腔内投与(IP)した。Bは生理食塩水で溶解したBU 0.3ml(BU量は10mg/kg)を単一でIPした。CはBU(10mg/kg)を単一でIPし生理食塩水で溶解したLF 0.3ml(LF量は4mg/匹)を、0、1、2、3、4、5週目に1回、IPした。DはBU(10mg/kg)を単一でIPし1%LFを添加した粉末エサを自由採食させた。最初のIPから6週目に安楽死し、心臓血、精巣、精巣上体尾、精嚢について比較検討した。
結果:一週間毎の個体の体重の推移には有意差がなかった。一方、精巣重量、精子運動率、正常形態率、TUNEL陽性率はコントロール群と比較してBU群、BU+LF群、BU+LF(エサ)群は有意に低くなった。
まとめ:現プロトコールではLFが精巣の防護に関与しないことが示唆されたため詳細な検討は中断した。マウスはLFが腸内循環しないことが考えられ、今後はin vitroにてLFの反応を検出する試験に切り替える予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

in vitroにてLFの反応を検出する試験に切り替える予定であるが、現在、実験系がまだ確立できていない状態である。今後も検討を重ねて実験を遂行する。

今後の研究の推進方策

今後は
(ⅰ)精子の卵母細胞活性化への応用
(ⅱ)精子の妊孕能力および胚発育におけるヒト精漿成分の機能調節の解明
を検討する予定である。

次年度使用額が生じた理由

研究を遂行するにあたり、当院を受診する患者さんからの余剰検体を用いなければならないが、コロナ禍により来院の規制等があったため、滞りなく遂行できないと判断した。そのため、初年度に予定していた研究を後回しに、最終年度で行う予定であった動物を用いた研究を先に行った。
また、オンラインでの学会の参加が多く、出張を自粛したため、旅費を使用する機会がなかった。
まだ予断は許さない状況ではあるが、次年度からはヒト検体を用いた研究を施行する予定である。

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公開日: 2021-12-27  

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