本研究では、リーキータイプのタイトジャンクションタンパク質であるCLDN-2の過剰発現が、ヒト子宮内膜腺癌の悪性化に密接に寄与していることを初めて明らかにした。claudin-2を高発現している子宮内膜癌細胞株(Sawano)を用いて調べた結果、CLDN-2のダウンレギュレーションは、上皮のバリアーを上昇させ、子宮内膜がん細胞の細胞増殖だけでなく、細胞移動や細胞浸潤も抑制した。 また高glucose培地処置をすることによりclaudin-2は低下し、上皮バリアおよび細胞遊走の亢進、細胞浸潤の低下することを解明した。 子宮内膜腺癌細胞株にHDAC阻害剤tricostain AおよびHDAC1特異的阻害剤処置をしたところ、癌細胞の浸潤、遊走および増殖の明らかな抑制がみられ、その変化は要領依存性であった。また癌細胞の代謝への影響を調べるため、細胞外フラックスアナライザー(XFe Series)を用いて、癌細胞におけるミトコンドリア呼吸代謝において、高glucose培地による亢進、低glucose培地による低下を確認できた。 以上より子宮内膜癌における高発現が癌の悪性化に密接に関与すると考えられた。またHDAC阻害剤処置によるclaudin-2の抑制は子宮内膜癌治療において重要な役割を果たすと考えられ、またこれが新規治療薬の標的になりうることが示された。
|