研究課題/領域番号 |
20K18197
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
出口 蓉子 和歌山県立医科大学, 医学部, 学内助教 (00869612)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ctDNA / Liquid biopsy / MLH1 メチル化 / 子宮体癌 |
研究実績の概要 |
子宮体癌の罹患数/死亡数は年々増加している. 子宮体癌の治療は手術療法による摘出が主体となり,完全摘出可能な初期癌の生存率は90%以上と良好であるのに対し,化学療法抵 抗性の進行/再発症例や特殊組織型の症例の予後は不良であり,予後改善のためには新規治 療戦略の確立が必要である.肺癌や大腸癌などの悪性腫瘍では患者個々の癌の遺伝子プロフ ァイルに合わせたPrecision medicine研究が進められ,多種の分子標的薬が臨床導入されているのに対し,子宮体癌ではマイクロサテライト不安定性陽性(MSI-high)症例に対する pembrolizumab(抗PD-1抗体)が承認されているのみである.子宮体部類内膜癌では20~40% でMSI-highをきたしており,大腸癌と並んでMSI-highの生じやすい癌種となっている.患者個々の遺伝子変異プロファイルに合わせたPrecision medicineが予後の改善に重要となるものの,現在臨床応用されているコンパニオン診断検査は腫瘍組織を用いたマイクロサテライト不安定性(MSI)検査のみである.さらに進行/再発症例で十分な組織採取が困難な症例では解析できない.子宮体癌においてこれまでに腫瘍組織のMLH1のプロモーター領域の高メチル化とMSI-highに関連があると報告されているが,腫瘍組織MSI検査の代替としての血液を用いたLiquid Biopsy検査の報告はない.申請者らは以前より婦人科癌患者の末梢血中腫瘍循環DNA(ctDNA)を用いたLiquid biopsy 研究を開始しており,有用性について継続して報告してきた.本研究ではその経験と技術をもとに,腫瘍組織MSI検査の代替として,子宮体癌血液中ctDNA-Liquid BiopsyによるMLH1-高メチル化解析法を確立することを目標とし,新規治療戦略の基盤作成を目指す.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
子宮体癌患者の血液検体、腫瘍検体の集積は順調にできているが、MLH-1メチル化検出に必要なプライマー作成に時間を要しており、解析が進んでいないため、やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後、更に症例を蓄積し、早急にMLH-1メチル化検出に必要なプライマー作成を行うとともに、腫瘍組織の免疫染色やMSI解析を行う予定である。子宮体癌において血液検体からのMLH1-高メチル化検出が腫瘍組織のMSI-high検出の代替となるかを検討する.さらに血液検体のMLH1-高メチル化群と非メチル化群の2群間で,臨床データとの包括的解析を行い、血液検体のMLH1-高メチル化が治療感受性などの予後予測バイオマーカーになるか検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
MLH-1メチル化検出に必要なプライマーを作成し、さらに腫瘍組織ののMMR蛋白(MLH1,MSH2,MSH6,PMS2)の発現について免疫組織化学染色を行うともに、MSI解析を行う予定である。
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