研究課題/領域番号 |
20K18198
|
研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
岡本 直樹 国際医療福祉大学, 医学部, 研究員 (80714360)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 新規卵巣刺激法 / FSH刺激抵抗性 / 高齢不妊 |
研究実績の概要 |
近年、増加傾向にある高齢不妊患者は、FSHによる卵胞発育促進のための卵巣刺激に対し抵抗性を示す。その原因として、顆粒膜細胞のFSH 受容体(FSHR)の発現低下が関与している。我々はFSHによる卵巣刺激に抵抗性を示す高齢不妊患者でも、FSH-FSHRの下流で働くC-type natriuretic peptide (CNP)を用いることで卵胞発育を誘導できると考えた。そこで本研究では、CNPを用いた新たな卵巣刺激法の確立を目標に、FSH刺激に抵抗性を示す高齢マウスに対し、CNPによる卵胞発育誘導とその分子基盤の解明、CNP投与の安全性、得られた卵子の妊孕性および正常性の検証を目的としている。今年度は、既に実施した予備検討のデータを解析実施。加えて、同様の検討を再度実施し、再現性を確認した。また、関連学会に参加して情報収集に努めた。 まず高齢マウスを用いたCNP投与試験を実施。CNP投与の適正プロトコールを決定した。研究計画時に想定した投与プロトコールを採用。CNPの投与量は若齢マウスでの至適投与量である0.050mg/kgの他、0.025mg/kgおよび 0.075mg/kgを試した。その結果、上記のプロトコールで0.050mg/kgのCNP投与により、高齢マウスでも安定した卵巣刺激が可能であることが確認できた。これにより、今後の試験で使用するCNP投与プロトコールを決定することができた。 さらに、CNPによる卵巣刺激の有効性についても解析。上記プロトコールにより排卵させ排卵数を測定した。その結果、PMSG投与群及びcontrol群と比較して、CNP投与群の排卵数が有意に増加している結果が得られた。この解析については、再現性を確認すべく更にn数を増やして再検討を実施する予定。加えて、上記解析時に組織解析を実施するため、卵巣組織をサンプリングした。これらの卵巣組織は、処理を進行中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度は一年を通して新型コロナウイルスの影響から、県をまたぐ移動に制限が生じたため研究機会が減少した。また、流通への影響から、研究用の物品不足も少なからず発生した。そのため、当初の予定していた研究の延期が続き、結果として全体の研究計画に遅れが生じている。
|
今後の研究の推進方策 |
現在もコロナの影響は大きく、予定通りの研究実施が難しいのが現状である。まずは既に得られている組織サンプルを用いて、実施可能な解析を進めていく。加えて、今年度得られた解析結果を元に、当初の研究計画にあるCNPを用いた新規卵巣刺激法の確立を目指す。それと同時に、組織サンプルなどを回収し、卵胞発育誘導の分子基盤を明らかにするため、in vitroの分子解析及び組織解析を進めていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの感染拡大の影響から、県をまたぐ移動に制限が生じたため研究機会が減少した。また、流通への影響から、研究用の物品不足も少なからず発生した。それにより、予定していた研究の多くが延期となった。そのため新規で物品購入が必要な試験は見合わせ、現在の状況下で実施可能な試験を優先させたため。
|