研究課題/領域番号 |
20K18205
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
鈴木 由妃 聖マリアンナ医科大学, 医学研究科, 助教 (00836992)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 卵子凍結 / ミトコンドリア / 妊孕性温存 |
研究実績の概要 |
本研究では、AYA世代を含めた若年がん患者の妊孕性温存療法として行われている卵子凍結の治療成績を向上させることを目指しており、最終目標は妊孕性温存療法の一つである卵巣組織凍結時に得られる未熟卵子を体外培養し、成熟卵子を獲得する技術の確立である。本研究では、成熟卵子における細胞障害の原因究明として、凍結・融解ストレスによるミトコンドリア動態に関連した障害を検討した。2021年度に使用していた共焦点レーザー顕微鏡ZEISS LSM 500によって撮影した結果では、マウス新鮮・凍結融解成熟卵子におけるMT・TMRE染色後、ミトコンドリアのクラスター分布及びその面積を解析した結果は、両者でクラスター数に有意差は認めないが、クラスターあたりの面積は増大することが明らかになった。しかし、2021年度に実施したデータはあくまでも2D撮影におけるデータであり、体積評価をすることで大きくデータが異なるのではないかという疑問が残った。2022年度の研究成果としては、2022年には大学院共同研究施設にて、ZEISS LSM 900 with Airyscan 2という新規の共焦点レーザー顕微鏡を購入予定であったため、3D撮影におけるデータ解析を行い、2Dにおけるデータ解析と共に3Dにおけるデータ解析が同様の結果をもたらす結果となるかどうかについて検討を行った結果、2D及び3Dにおけるデータ解析共に、マウス新鮮・凍結融解成熟卵子におけるMT・TMRE染色後、ミトコンドリアのクラスター分布及びその面積、体積を解析した結果は、両者でクラスター数に有意差は認めないが、クラスターあたりの面積は増大すると言う同様の結果を得ることができた。現在サンプル数を増やし、得られたデータに齟齬がないか確認中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
ZEISS LSM 900 with Airyscan 2という共焦点レーザー顕微鏡は大学院共同研究施設に設置されたが、そのデータを解析するためのIMARISと言うソフトがある。ソフトも同様に搬入されたが、卵子1個全体を3D解析作業を行うことで、設置されたコンピューターのスペックでは解析途中に停止してしまい、データを解析することができない状況が続いた。大学院研究施設と相談したが、結果として対応可能なハイスペックのPCを導入せざるを得なくなった。ハイスペックコンピューターはコロナ感染症やロシアの戦争等社会情勢の影響による海外からの物資輸送の遅延があり、入手するのに想定以上の期間がかかる結果となった。PC到着後は順調に卵子3D解析に現在も着手し、現在得られたデータを集積している。
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今後の研究の推進方策 |
現在卵子のミトコンドリア動態に関連する3D解析を実施することが可能となった。現在サンプル数を増やし、我々が得た2Dデータ及び3Dデータに齟齬が生じないか、データ集積及び確認中である。また、論文化に向けてデータ解析及び図表作成といった執筆準備を進めており、今年度中に英文誌への投稿を予定している。今年度中のacceptを受けることを念頭に進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
卵子の3D解析作業が、大学院の共同実験室に導入されたPCでは容量が不足し解析ができない状況にあった。対応可能なハイスペックのPCを導入することになるが、コロナ感染症やロシアの戦争などの社会情勢の影響による海外からの物資輸送の遅延があり、このハイスペックPCを入手するのに想定以上の期間を要し、次年度使用額が生じる結果となった。現在、ハイスペックPCの設置が完了し、解析手技の確認が終了したため、このまま次年度に実験を続ける。
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