研究成果の概要 |
本研究は類内膜がんG3における日本人集団の 体細胞変異の頻度を明らかにし,新たな予後不良因子の同定や分子標的薬の恩恵が受けられる集団の特定を目的とした.PTEN,ARID1A,TP53,PIK3CA変異が子宮 体がんG3の日本人集団の30%以上で検出された。また、CTNNB1変異は生存/再発ともに予後不良因子であった.TCGAデータと比較して日本人集団でPOLEとTP53変異 が有意に多かった. G3 74症例中53例(71.6%)にActionable変異を認めた.さらに、本研究の結果をProMisEによる分子プロファイリングによる予後分類に当てはめたところアジア人でも同様の結果が得られた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
国外ではTCGAによる全エクソンシークエンスといった大規模ゲノム解析が既に行われており,欧米では既に遺伝子パネル検査が日常診療として実施されており,十万人レベルでの ゲノムデータがGENIEなどに公開されている.しかし,近年増加傾向にある日本人子宮体がんに対するゲノム解析はほとんど行われておらず,令和元年から始まった遺伝子パネル検査は全国でも月数百例と欧米と同等のレベルになるにはまだ年月を必要としている.本研究は日本人に対するゲノム医療を推進させるための重要な研究データとなり得た.子宮体癌Grade3の中でも特に予後不良な集団が分子標的薬の恩恵を受けられる可能性が示唆された.
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