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2020 年度 実施状況報告書

希少絨毛性疾患PSTTとETTの新規診断法および治療法の開発と悪性化機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K18215
研究機関金沢大学

研究代表者

茅橋 佳代  金沢大学, 附属病院, 医員 (80724195)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2022-03-31
キーワード網羅的RNA発現 / 分子標的治療薬 / Single cell analysis
研究実績の概要

本研究の目的は極めて稀な絨毛性疾患である胎盤部トロホブラスト腫瘍 (PSTT)と類上皮性トロホブラスト腫瘍(ETT)について、①新たな診断マーカーの開発、②既存の分子標的薬剤による治療法の提案、さらに③癌化の機構を解明することである。
研究実施計画①RNA発現解析による新たな診断マーカーの候補分子の同定とその解析、②RNA発現解析による既存の分子標的治療の標的分子の検索と新たな治療法の提案について、PSTTの患者から採取した腫瘍組織に対してMicroarrayによる網羅的RNA発現の解析データから、既存の分子標的治療薬の標的となる分子のRNA発現の検討を行った。またそれらのRNA発現をRT-PCRで確認後、候補分子の選択を行った。RNA発現の確認ができた分子については、病理検体を用いて抗体による免疫組織染色法にて蛋白発現とその様式を観察したところ、いくつかの候補を得ることができた。現在、候補となった分子標的治療薬の薬効に関連する分子の発現もRNA発現および病理検体を用いた蛋白発現の有無を確認しているところである。病理検体においてこれらの蛋白発現が確認されれば、新たな診断マーカーになる可能性もあると考える。
研究実施計画③腫瘍組織の網羅的DNA変異解析によるPSTTとETTの悪性化の責任遺伝子の推定と検証について、PSTTとETTのそれぞれの組織と正常組織から抽出したDNAを次世代シークエンサーでエクソームシーケンス解析する計画については、より解析精度を上げる目的で、腫瘍組織のSingle cell analysisを目指した。条件検討を行った結果、腫瘍のsingle cell isolationに成功した。現在、全ゲノム解析を行っているところである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

PSTTとETTのそれぞれの組織と正常組織から抽出したDNAを次世代シークエンサーでエクソームシーケンス解析する計画については、腫瘍組織が半分父方由来の遺伝情報を含有する特性から、通常のがん組織解析とは異なる解析の立案が必要となった。そのため、より解析精度を上げる目的で、腫瘍組織のSingle cell analysisを目指した。条件検討を行った結果腫瘍のsingle cell isolationに成功したが、ここに到達するまでにかなりの時間を要したため、その後の全ゲノム解析が遅れることとなった。

今後の研究の推進方策

協力施設からの症例を加えて網羅的なRNA 発現解析による分子標的治療候補となる分子の発現を検討する。同様に分子標的治療候補の関連因子として特異的発現が示唆された分子群についても症例数を集めてPSTTとETTの治療薬の関連pathwayに作用する可能性についても確認する。特に化学療法に抵抗性であった症例に関しては、有効症例のRNA発現プロファイルと比較して、化学療法抵抗性のPSTTやETTに効果的と考えられる分子標的治療を提案する予定である。
一方、腫瘍細胞の全ゲノム解析から得られたデータから、癌化に重要な遺伝子が同定された段階で、該当遺伝子のノックアウトまたは症例と同様の変異をCRISPR/Cas9ゲノム編
集法でEVT前駆細胞の細胞性栄養膜細胞をh-TERT導入で不死化したSwan71細胞(米国エール大学Gil Mor博士より供給)に順番に導入して癌化を誘導する予定である。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウィルス感染症流行のため学会の現地参加がなく旅費が生じなかったことや、研究進度の遅れにより次年度使用額が生じた。
使用については新規追加症例に対してのmicroarrayによる網羅的RNA解析の追加やエクソームシーケンス解析の追加を計画している。

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公開日: 2021-12-27  

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