研究課題
PCOSモデルラットならびにモデルマウスを経母体DHT投与により作成した。PCOS様表現型として、性周期の異常や卵巣の多嚢胞化所見を確認した。ラットでは、視床下部と肝臓について、DNAメチル化解析、RNA-seqによる遺伝子発現変動の解析を施行した。プロモーター領域のDNAメチル化変化の解析では、モデルにおいてコントロールに比して高メチル化を示した遺伝子は視床下部で500、肝臓で200、内共通する遺伝子は20であった。低メチル化を示した遺伝子は視床下部で424、肝臓で186、内共通する遺伝子は12であった。RNA-seqにおける発現変動遺伝子数は視床下部で12、肝臓で57、内共通したものは3遺伝子であった。視床下部と肝臓で共通して変化を示した遺伝子では、メチル化変化と発現変動遺伝子との関連は示されなかった。メチル化変化と発現変動を示した遺伝子は、視床下部でVglut1 (高メチル化/発現低下)、Bcmo1 (低メチル化/発現低下)が認められた。肝臓で遺伝子発現変動のみられたアディポカイン・ヘパトカインとしてRBP4が検出され、ELISA (enzyme-linked immunosorbent assay)にて血清濃度の上昇が確認された。マウスモデルの卵子のRNA-seqでは、コントロールに比して発現上昇遺伝子が90、発現低下遺伝子が28であった。パスウェイ解析では、リボソーム関連のパスウェイがenrichされており、tight junctionに関するパスウェイがdown regulateされていた。RBP4はリボソームの活性化との関連も報告されている。また、PCOSモデルマウスの卵子において、リボソームタンパクであるRps21とRpl36の染色増強を確認した。卵子でもプロモーター領域のメチル化解析を行ったが、遺伝子の発現変動との関連は認められなかった。
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