研究課題
細胞間接着分子クローディン(CLDNs)の発現パターンは、腫瘍の診断マーカーおよび予後マーカーとして有力である。所属研究室ではCLDN6高発現が子宮体癌の予後不良因子であることを明らかにした。我々は最近公開されたThe Cancer Genome Atlasデータベースにおいて、細胞間接着分子クローディン-12 (CLDN12) mRNAの高発現が子宮頸癌と子宮体癌の予後不良因子である可能性が示されていることに着目した。ラットリンパ節法を用いて特異度が高く、ホルマリン固定パラフィン包埋標本を免疫染色可能な抗ヒトCLDN12に対するモノクローナル抗体を開発した。続いて、子宮頸癌手術検体約140例においてCLDN12発現量を半定量的に評価した。その結果と患者の臨床経過を統計解析したところ、CLDN12低発現群では高発現群と比較して5年生存率が優位に低く、予後不良因子であることが示された。これはThe Cancer Genome Atlasデータベースで示された結果と異なる結果が示された。しかし、その機序については現時点では明らかになっていない。今後、子宮頸癌におけるCLDN12発現が予後良好因子となる機序についての解明が必要である。また、子宮体癌に対しても同様に半定量的評価、統計学的解析を進めている。また、卵巣癌についても同様に解析を進めている。CLDN12発現が癌種の異なる場合にも予後良好因子となるのか、また、その機序についての解明を進める。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
International Journal of Oncology
巻: 61 ページ: -
10.3892/ijo.2022.5425