脂肪組織培養系を用いて妊娠高血圧腎症患者由来の血清を添加して培養し、組織内での遺伝子発現をマイクロアレイ・メチル化シークエンスで 確認した。PATHWAY解析にて有意な上昇のあるPATHWAYを抽出し、LPAR3を介して変動している因子を見出すことが目的であったが、有意な上昇が確認できた PATHWAYのうち妊娠高血圧腎症に関与している可能性のあるものは認めなかった。 一方、妊娠中の初期・中期・後期に採取した血清を用いた実験で、胎盤蛋白TFPI2が妊娠合併症と関与している可能性を見出した。TFPI2は卵巣癌のマーカーと して用いられているが、妊娠中に胎盤で生成されることが知られており、妊娠初期から後期への血清中の濃度が上昇していくことは既に報告されている。我々は、まず妊婦の妊娠初期・中期・後期における血清を収集し、少数のパイロッ ト検体で妊娠糖尿病を合併する妊婦の場合に血清中TFPI2の値が、正常妊婦と異なる可能性があることを見出した。そこで、さらに検体数を増やし、妊娠高血圧症候群、切迫早産、妊娠糖尿病の妊婦の血清検体におけるTFPI2の変化を評価した。現在、詳細な統計解析を行っている途中である。
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