正常妊娠・妊娠高血圧症候群(以下HDP)の胎盤では、酸化ストレスは妊娠週数とともに上昇し、抗酸化力は低下した。血清ATX濃度との関係では、正常妊娠・HDP共に酸化ストレスと正の相関を示し、抗酸化力はHDP群で負の相関を示した。妊娠時期別では、血清ATX濃度と酸化ストレスマーカーとの相関は後期で顕著であった。絨毛細胞株への酸化ストレス刺激ではATX mRNA発現が誘導され、LPAシグナル刺激は細胞への活性酸素種の集積を減少させた。 胎盤のATX-LPA経路は酸化ストレスを調整することにより免疫調整や細胞分化に影響を与え、胎盤機能を胎児発育のために適切なレベルに調整する役割を担うことが示唆された。
|